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プランクが意味ないと言われる理由―効果は時間ではなく「お尻」でわかる

プランクをしている男性の写真

プランクが意味ないと言われる理由―効果は時間ではなく「お尻」でわかる

30秒が1分になり、1分が2分になった。記録は伸びているのに、お腹も姿勢も変わらない。「プランクって意味ないじゃん」——そう感じている方は少なくないと思います。

先に結論をお伝えすると、プランクは意味がないのではなく、時間を目標にした瞬間に意味が薄れやすい種目です。柔道整復師として運動指導をしてきた経験から、「何分できるか」ではなく「どこを見れば効いているとわかるか」を解説します。

目次

プランクが「意味ない」と言われる3つの理由

プランクが意味ないと言われる理由は、おおむね3つに整理できます。

  • じっと耐えるだけで筋肉が大きく伸び縮みしないから、筋肥大には向かない
  • 消費カロリーが小さいから、痩せない
  • 時間を延ばしても、見た目が変わらない

実は、どれも間違いではありません。筋肉を大きくしたいなら重りを使ったトレーニングのほうが効率的ですし、体重を落としたいならランニングのような全身運動が先です。ただそれは「プランクが無意味」という話ではなく、目的のズレです。プランクは腹筋を割る種目でも痩せる種目でもなく、別の能力を育てる種目だからです。

もうひとつの理由——自己流では効かせられていない

もうひとつ、現場で感じる理由を足すなら、自己流では効かせられていないことが、本当に多いのです。「2分できます」という方でも、あらためてフォームを整えると30秒もたずにつらそうにされることがよくあります。効いていないまま時間だけが延びていたなら、変化がないのは自然なことです。

プランクの本当の目的は、腰を「板」のように固めること

プランク(plank)は英語で「板」。名前の通り体を一枚の板のように保つ種目で、本当の目的は腰の骨(腰椎)を固める力を養うことにあります。

なぜ「腰を固める力」が必要なのか

腰が反ったり丸まったりとグラグラ動いてしまうと、本来大きく動くべき股関節や胸まわりの動きを腰が肩代わりしてしまうからです。逆に腰を固められると、スクワットでも日常の動作でも、力の通り道が安定します。

目指すのは「丸まることも反ることもできない状態」

ふたつの拮抗する力を同時にかける状態です。お腹の力で骨盤を後ろに回し続けながら(体を丸める方向)、同時にお尻を下げようとする(腰を反らせる方向)。両方の力が引っ張り合うので、どちらにも動けない。これが体が板になっている状態で、片方だけができているなら、もう片方の意識が抜けています。

「お腹を凹ませる」は導入まで――固めるのは横に締める意識

ここで分かれ目になるのが、お腹の使い方です。「お腹を凹ませて」固めることもできるのですが、凹ませるのは縦方向の操作なので、凹ませすぎると体が丸まったままになり、お尻を落とす動きとぶつかって落としづらくなります。

固めるのは「横から締まる」収縮

固め続けるのに向いているのは、横から締まる収縮です。咳をするときに「グッ」と入る、あの力に近い。横に締めておく意識なら、丸まる方向にも反る方向にも寄らずに固められます。

だから、凹ませる意識は導入としてはかまいません。お尻を落とそう、落とそうとしているうちに、凹んでいるかどうかより「締まっているか・固いか」のほうが頼りになる感覚だと、だんだんわかってきます。

この「凹ませる」と「締まる」の違いは、ドローインの記事で深掘りしています。プランクは、その締まる感覚を姿勢ごと保てるかのテストでもあります。

締まる感覚のつかみ方はこちら

効いているかは、時間ではなく「お尻」でわかる

効いているかどうかは、時間ではなくお尻を見て判定します。

判定線は「肩と膝を結んだ線」と大転子

基準はシンプルです。のちほど紹介する膝をついた形なら、肩と膝を結んだ線から大転子(股関節の外側にある、出っ張った骨)が外れていないかどうか。つま先で支える形なら、肩とくるぶしの線で同じように見ます。お腹の力が抜けると、お尻がカクンと落ちてこの線から逸脱します。腹筋が保てていれば、お尻を落とそうとしても一定以上は落ちません。

肩と膝を結んだ線から大転子が落ちているNG例と、線上に保てているOK例の比較イラスト ※画像は準備中です(図1:判定線と大転子の位置/膝つき・肘をイスに乗せた形で描く plank-hip-line-check.jpg)

合格は「落とそうとしているのに、落ちない」

つまり合格は「お尻を落とそうとしているのに、落ちない」状態です。落とそうとしていないなら腹筋に負荷がかかっていませんし、落ちてしまったなら力が抜けています。お尻が浮いているのは論外(負荷から逃げています)。カクンと落ちたら、一度お尻を持ち上げてからお腹を入れ直してください。下がったままではお腹に力は入りません——そこはすでに、腹筋が負けている位置だからです。

よくある4つの代償動作

現場でよく見る失敗は、お尻が上がって負荷から逃げる、お尻が落ちて腰で耐える、肩が上がりすぎて背中が丸まる、膝が曲がって足で耐える、の4つです。プランクはそれだけ代償動作(目的の筋肉の仕事を、別の部位が肩代わりする動き)が出やすい種目で、時間を計るより先に、この4つが出ていないかを確認する価値があります。

初めての人に勧めるプランクのやり方

初めての方には、イスやベンチの座面に両肘を置き、床に膝をついた形を勧めています。肘から膝の間だけで耐えるので効かせる範囲が絞れて、お尻の動きを自分でも観察しやすいからです。ダイニングチェアやソファの座面でかまいません(キャスター付きのイスは、壁に押し付けて固定してください)。

やり方は3ステップ

  1. 座面に肘、床に膝をつく。
  2. 先にお腹を締め、骨盤を後ろに回す(おへそを胸に近づける)意識を作る。 このとき胸は落とさない。
  3. 締めたままお尻をゆっくり下げようとする。 お腹が効いていれば一定以上は落ちず、「丸まることも反ることもできない状態」になります。

イスの座面に肘を乗せ、床に膝をついたプランクの推奨フォームのイラスト ※画像は準備中です(図2:推奨フォーム(肘をイス・膝を床) plank-elbow-chair-form.jpg)

ハイプランクと床のプランクを最初に勧めない理由

一方で、よく知られた2つの形は、最初には勧めていません。手のひらで支えるハイプランクは、膝が伸びているぶん骨盤を後ろに回す操作が難しいうえ、肘が曲がってくると二の腕がつらくなって腹筋に集中できなくなりがちです。つま先で支える床のプランクは、膝が曲がって足で耐える代償が出やすい。どちらも、感覚を掴んだ後のステップアップとしては良い種目ですが、入口には向きません。

時間は30秒から——「1分」は逆算の目安

時間は、運動指導では30秒を基準にしています。最終的にはプランク1回で1分以上が目安ですが、これは「スクワットなどのトレーニング1セット(多めに20回で約1分)の間、固め続けられる必要がある」という逆算であって、時間そのものが目的ではありません。感覚が掴めているなら、数秒のアップでも役割は果たします。

プランクで腰が痛くなるときに見直すこと

プランクで腰が痛くなる、という相談も少なくありません。原因をひとつに言い切ることはできませんが、現場でよく見るパターンは3つあります。

反り腰のまま耐えている

ひとつは、お尻が落ちて反り腰のまま耐えているケース。腹筋ではなく腰で支えている状態なので、痛みが出たら一度やめて、お腹を入れ直すところからやり直してください。

ブレーシングのかけすぎ・疲労感との混同

もうひとつは、ブレーシング(お腹を膨らませる方向に固める腹圧のかけ方)をかけすぎて、その疲労感とプランクの疲労感を混同しているケース。力の入れ方の種類が違うので、区別がついていないと、固めているつもりで腰に負担が寄ることがあります。

固める感覚がまだ曖昧

最後に、そもそも固める感覚がまだ曖昧なケース。感覚が曖昧なうちは、自分では固めているつもりでも無意識に腰が動いていて、動くぶん腰まわりの筋肉に疲労が集中しやすい——現場ではそう見えることが多いです。自分では自覚しづらい部分なので、「肩と膝を結んだ線」の判定基準に立ち返って確認してください。いずれにしても、痛みをこらえて秒数を伸ばすことに意味はありません。中止しても痛みが続く場合は、自分で解決しようとせず、医療機関で診てもらってください。

ドローインとブレーシングの違いはこちら

プランクに卒業はない――積み上げの中間点

プランクは、単体で完結する種目ではなく、積み上げの中間点です。順序としては、ドローインで締まる感覚を掴む、ブレーシングを覚える、プランクで姿勢ごと保てるか確認する、保ったまま動く(スクワットなど)、そして高重量のトレーニングへ、という流れになります。

進む基準は「わかる・できる」の確信

次に進む基準は秒数ではなく、「わかる・できる」と自分で確信できるかどうかです。逆に、固める感覚がないまま重量だけ先に進むほうが、支えが間に合わず腰を痛めやすいと考えています。

アップ種目として、使い続ける

そして、先へ進んでもプランクに卒業はありません。私は腹筋が絡む種目の前のアップとして毎回勧めていますし、特にベルトを着けずにデッドリフトをするなら、直前にプランクで固める感覚の余韻を作っておく価値があります。

効果の実感は、最中にある

お腹に力を入れずにお尻を落とすと、カクンと下がる。力を入れると、落ちない。この差をはっきり感じ分けられるようになることが、「できている」の実感です。

そして腰を固定できるようになると、股関節を使う・背中を使うといった動きを意識して選べるようになります。腰に集中していた負担を分散できる体の使い方が身につく——プランクの本当の効果は、ここにあると考えています。

まとめ

  • プランクの目的は、腹筋を割ることではなく腰を板のように固める力を養うこと。 筋肥大やダイエットが目的なら、別の種目を選ぶほうが効率的です。
  • 効いているかは時間ではなくお尻で判定する。 「落とそうとしているのに落ちない」が合格で、カクンと落ちたら、お尻を持ち上げてお腹の入れ直しです。
  • プランクに卒業はない。 積み上げの中間点であり、トレーニングを続ける限り手放さないアップ種目です。

プランクが意味ないと感じていたなら、それは続けてきた時間が無駄だったという話ではなく、見るべき場所が時間ではなかった、というだけのことだと思います。今日からは記録ではなく、お尻が線の上に保てているかを見てみてください。30秒が、これまでの2分より濃くなるはずです。

固める前の「締まる感覚」がまだ曖昧な方は、まずドローインから整えるのが近道です。

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