首こりがあると、「高い枕と低い枕、どちらがいいのか」が気になると思います。結論からいうと、全員に共通する正解の高さはありません。
私は、自分の身体に合う範囲であれば低めの枕を勧めています。ただし、低ければ低いほどいいわけではありません。この記事では、首こりが気になる人が枕を選ぶときに、何を基準に高さや形を考えればいいのかを整理します。
首こりの枕は「高い・低い」だけでは決められない
枕選びでは高さがよく注目されますが、「首こりなら○cm」と一律に決められるものではありません。
この記事でいう「合う枕」とは、今の身体や寝姿勢に対して、無理なく寝られ、頭・首・肩まわりを支えやすい高さ・形の枕です。
枕の高さで首の位置と圧のかかり方は変わる

枕の高さを変えると、首の角度だけでなく、頭や首にかかる圧の分布も変わります。
実際に、枕高によって頸部の位置や接触圧が変化することは研究でも確認されています。高さを変えることは、単に頭の位置を上下させるだけではなく、頭から首にかけての支え方そのものを変えることになります。Ren et al., 2016
全員に共通する「正しい高さ」は決まっていない
一方で、2021年のレビューでは、仰向け・横向きともに「誰にでもこの高さが最適」といえる範囲は確立されていません。体格、首の形、寝姿勢、接触圧など複数の条件を考える必要があります。Lei et al., 2021
そのため、「首こりなら低い枕」「ストレートネックなら高い枕」のように、症状名だけで決めるのはおすすめしません。
私が枕を見るときに重視しているのは、その高さで長時間、楽に支え続けられるかです。
私が重視するのは「隙間を埋めて、広く支えること」
寝ている間は、長時間にわたって身体を寝具へ預けます。そこで重要だと考えているのが、頭・首・肩まわりをどう支えるかです。
仰向けになったとき、後頭部だけが寝具に触れ、首や肩の一部が大きく浮いている状態は、狭い範囲に当たりが偏りやすくなります。
逆に枕を高くしすぎても、頭や首の位置が変わることで別の場所が浮いたり、一部分だけ強く当たったりすることがあります。
ここでいう「隙間を埋める」は、首を高く持ち上げるという意味ではありません。頭・首・肩まわりを、できるだけ狭い点ではなく広い面で受けられる状態をつくるという考え方です。
これは「面で支えれば首こりが治る」という医学的な結論ではなく、私が枕を合わせるときに使っている実務上の判断基準です。
私は「自分の身体に合う範囲で低め」を勧めています
低い枕を勧めていますが、低ければ低いほどいいわけではありません。
低くして寝づらいなら、その高さにこだわらない
基準にしているのは、普通に寝られる、息苦しくない、力まずに落ち着ける、その範囲の中で低めです。
低くしたことで寝つけない、息苦しい、首や肩が落ち着かないのであれば、「低い方が良いはず」と我慢して続ける必要はありません。
枕は睡眠中に使うものなので、理想の形へ無理に身体を合わせるより、まず楽に寝られることを優先します。
猫背が強い人は、今の身体に合う高さから始める
背中の丸まりが強い人では、仰向けになったときに首や肩の後ろと寝具の間の空間が大きくなることがあり、低い枕では落ち着かない場合があります。
現場でも、猫背が強い人ほど、最初からかなり低い枕にすると寝にくそうだと感じる場面があります。ただし、「猫背なら高い枕が正解」という意味ではありません。あくまで今の身体で無理なく寝られる高さから始めます。
身体の状態が変われば、合う高さも変わることがあります。そのため、最初から高さを固定してしまうより、あとから調整できる枕を選ぶ方が使いやすいと考えています。
枕が高すぎる・低すぎるかは、見た目だけで決めない
枕が合っているかは、寝姿勢の写真だけではなく、症状がいつ・どのように出ているかまで含めて考えます。
朝だけ痛いなら、睡眠中の環境を疑う材料になる
たとえば、日中は肩が痛くないのに、朝起き上がるときだけ肩が痛む。さらに、使っている枕がかなり高い。
こうした場合は、「睡眠中の環境が関わっているのではないか」という仮説を立てる材料になります。
実際に、こうしたパターンで高い枕を低くしたあと、朝の肩の痛みが軽くなったケースを複数経験しています。
枕を調整したあとの変化まで確認する
もちろん、枕を変えたことだけが症状の変化を生んだと証明できるわけではありません。
そこで、症状が出る時間や生活のストーリーから仮説を作る → 枕を調整する → その後の変化を見る、という順番で考えます。
見た目だけから正解を当てるのではなく、調整した結果まで含めて判断する方法です。
仰向けと横向きでは枕に必要な高さが変わる
同じ人でも、仰向けと横向きでは身体と寝具の隙間が変わります。そのため、一つの高さだけを見て枕を選ぶのは難しくなります。

仰向けは、身体に合う範囲で低めから合わせる
仰向けでは、頭を高く持ち上げることより、頭から首・肩にかけての浮きを自然に支えられるかを見ます。
普通に寝られ、息苦しさや強い違和感がない範囲であれば、私は低めから合わせます。
高くすること自体を目的にせず、頭・首・肩まわりに大きな浮きや局所的な当たりが生まれていないかを確認します。
横向きは、肩幅と枕の沈み込みを考える
横向きでは肩幅が入るため、頭と寝具の間に仰向けより大きな距離ができます。その分、高さが必要になりやすくなります。
ただし、「頭が上へ傾くほど高くする」という意味ではありません。枕は頭を乗せると沈むため、何も乗せていない状態では肩と頭の隙間より少し高く見えても、実際に頭を乗せて沈んだ状態で、首が無理なく支えられる高さを見ます。
高さをイメージしにくければ、壁に肩を当てるように横向きで立つと、肩幅の分だけ頭と壁に距離ができることが分かります。厳密な測定方法ではありませんが、横向きで高さが必要になる理由は理解しやすくなります。
首こりが気になる人の枕選びは「高さ調整・広い面・適度な柔らかさ」
「首こり用」「ストレートネック用」という商品名より、実際にどう支えられる枕なのかを先に見ます。
まず見るのは3つの条件
- 高さを調整できること:中材を抜き差しできるものや、下に薄い調整材を入れられるもの。身体や寝姿勢が変わっても合わせ直せます。
- 面が広いこと:後頭部だけを狭く受けるのではなく、首や肩側まで含めて支えやすい大きさがあるもの。寝返りでも枕から外れにくくなります。
- 適度な柔らかさがあること:硬さの好みには個人差がありますが、一部分だけ硬く当たり続けるものは積極的には勧めません。
特に高さ調整ができれば、「最初から自分にぴったりの高さを当てる」必要がありません。使いながら高さを変えられることを重視しています。
形状は「中央低め・左右高め」が使いやすい
仰向けと横向きの高さの違いを考えると、中央が低めで、左右が少し高いタイプは使いやすい形の一つです。
中央は仰向け、左右は横向きの高さに合わせやすくなります。
また、完全な平面より、首まわりの浮きを軽く埋められる程度の形がありつつ、特殊な凹凸で頭の位置を強く固定しすぎないものを好みます。チップなど中材を動かせるタイプなら、その日の状態に合わせて形を少し変えやすいのも利点です。
タオルは「枕代わり」ではなく、高さ調整に使う
枕の高さをタオルで調整する方法はよく紹介されています。私もタオルは使いますが、使う場所を分けています。
タオルだけを枕にするのは勧めていない
タオルだけを丸めたり折ったりして、頭へ直接当てる枕代わりにはしていません。
私が試してきた中では、クッションとタオルでは、つぶれたあとの感触にかなり違いがありました。タオルを何枚も重ねたり丸めたりすると硬く感じやすく、丸めた部分へ狭く圧がかかることもあります。
また、折っただけのタオルが首や肩の形に沿って浮きを埋めてくれるとも限りません。
私自身、丸めたタオルを枕代わりにして寝たとき、頭の一部が硬く圧迫され、しびれるような感覚が出たことがあります。この経験だけから「タオル枕は危険」と一般化はできませんが、少なくとも私は頭を直接タオルで支える方法は勧めていません。
高さを足すなら、枕の下にタオルを入れる
使うなら、低めの普通の枕を使い、その枕全体の下から肩側までタオルを敷いて高さを足す方法です。
この方法なら、頭に触れる部分は枕の柔らかさを残したまま、土台の高さを調整できます。
高ければタオルを1枚抜き、低ければ足す。枕そのものを買い替えなくても、小さく高さを調整できます。

低い枕で寝られないなら、身体側も見直す
低い枕でどうしても寝られない場合は、枕だけを調整し続ける必要はありません。
まずは今の身体に枕を合わせる
背中や胸まわりが硬く、仰向けの姿勢そのものが取りにくい人では、まず今の身体に枕を合わせます。
そのうえで、日中に胸椎や胸まわりを動かすストレッチなどを行い、身体の状態が変わったら枕も合わせ直します。
これは「胸椎が硬いから首こりになる」という原因論ではありません。低い枕で寝づらいという事実を、身体側を見直す材料の一つにするという考え方です。
寝ながらスマホを見るなら、睡眠用の枕とは分ける
寝ながらスマホを見るときに高さが必要なら、睡眠用の枕そのものを高くするのではなく、その時間だけ別のクッションで上体を起こし、寝るときに外す方法があります。
「スマホを見る高さ」と「眠るための高さ」を分けて考えます。
枕を変えても首こりが変わらないことはある
枕は首こりに影響しうる要素の一つです。
しかし、首こりのすべてを枕だけで説明することはできません。
枕の種類や設計で症状に差が出る可能性はある
2021年のシステマティックレビュー・メタ解析では、枕の種類や設計によって、頸部痛、起床時痛、障害度などに違いが出る可能性が示されています。Pang et al., 2021
一方で、すべての人に同じ枕が同じように作用するわけではありません。
そのため、枕を首こり対策の一つとして考えることはできますが、「この枕に変えれば首こりが解決する」とまでは考えない方がよいでしょう。
日中の身体の使い方や疲れ方も見る
現場でも、枕を変えてもあまり変わらず、日中の身体の使い方を変えたことで疲れ方が変わったり、硬く動きにくいところを動かせるようにしたことで首や肩のつらさが減ったりする人はいます。
朝だけつらいのか、日中もつらいのか。身体を使ったあとに悪化するのか。
こうした症状の出方まで見れば、枕を変え続けるべきなのか、別の要素を見直すべきなのかを考えやすくなります。
枕以外のセルフケアを試したい場合は、自分でできる首こりマッサージも紹介しています。
強い痛みやしびれがある場合は医療機関へ
強い痛みが続く、腕や手のしびれ・力の入りにくさがある、外傷後から症状が出たなどの場合は、枕選びだけで様子を見続けず、医療機関へ相談してください。
まとめ
- 高さ:首こり用の枕に、全員共通の正しい高さが決まっているわけではありません。
- 選び方:高さを調整できる・面が広い・適度な柔らかさがある、の3点をまず確認します。
- 合わせ方:自分の身体に合う範囲で低めを基本にし、仰向け・横向きや身体の状態に合わせて調整します。
私が重視しているのは、頭・首・肩まわりの浮きを無理なく支え、一部分だけに圧を集中させないことです。低い枕で寝づらいなら、無理に低くする必要もありません。
正しい枕を一発で当てるより、今の身体に合わせて高さを調整し、その後の変化を確認する。その考え方で選ぶ方が、実際には使いやすいと思います。

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