腰痛があってもランニングしていい?走ると痛い原因と運動再開の考え方

腰痛があるときのランニング継続や運動再開について解説する記事のアイキャッチ

ダイエットや健康維持のためにランニングを始めたのに、腰が痛くなってしまった。走り続けてもよいのか、それとも安静にした方がよいのか、迷ったことはありませんか?

腰痛があるからといって、必ずしもランニングをやめる必要はありません。ただし、痛みの状態によっては運動を控え、医療機関での確認が必要な場合もあります。

この記事では、慢性的な腰痛がある方に向けて、ランニングを続ける際の判断材料や、休止・受診を考える目安を解説します。さらに、腕の振り方や足の着き方、筋トレ後の感覚などを手がかりに、自分に合う走り方を探す方法も紹介します。

目次

腰痛があってもランニングしていい?

結論からいうと、慢性的な腰痛があっても、状態によってはランニングを続けられます。

腰痛があると「腰に負担をかけないように安静にしなければ」と考えるかもしれません。しかし、腰痛がある人にとって、身体を動かすことが必ずしも悪いわけではありません。

実際に、Neasonら(2025)の研究では、非特異的な慢性腰痛のある成人40人を対象に、12週間のランニングとウォーキングを組み合わせた運動を実施した結果、運動しなかった対照群に比べて痛みや日常生活への支障が改善しました。

もちろん、この研究だけですべての腰痛にランニングが有効だとはいえません。それでも、腰痛があるからといって一律に運動を避ける必要はないことを考える材料になります。

ランニングを続けられる状態と、受診が必要な状態

腰痛があっても、日常生活に大きな支障がなく、走ることで症状が強くならない場合は、運動量を調整しながら続けられることがあります。

一方、走るたびに痛みが強くなる、走ったあとも症状が悪化したまま戻らない、普段の生活にも影響が出るようなら、いったんランニングを控えて状態を確認しましょう。

特に注意したいのは、次のような症状です。

  • 脚のしびれや筋力低下が新たに出たり、悪化したりする
  • 発熱や強い全身の不調を伴う
  • 転倒などの外傷後から強い腰痛がある
  • 安静にしていても強い痛みが続く

こうした場合は医療機関での確認が必要です。また、新たな排尿・排便の障害、股の間や肛門周囲の感覚異常、急速に進む脚の麻痺などがある場合は、緊急の評価が必要になります。

大切なのは、腰痛があるかないかだけではなく、症状の状態と運動による変化を見ながら判断することです。

ランニングで腰が痛くなるのはなぜ?

ランニングは、着地と蹴り出しを繰り返す運動です。脚だけでなく、骨盤や背骨、腕なども連動して動きます。走る距離や時間が長くなれば、身体にかかる負荷も積み重なっていきます。

例えば、運動不足の状態から急に長い距離を走り始めたり、走る頻度やスピードを大幅に増やしたりすると、身体がその負荷に十分対応できず、痛みにつながる場合があります。

また、同じ距離を走っていても、身体の使い方によって筋肉への負担のかかり方は変わります。

腰の動きが多いこと自体が悪いわけではない

ランニング中には、腰もある程度動きます。そのため、腰をまったく動かさないように固めることが、必ずしも正しい走り方ではありません。

ただ、腰ばかりを大きく動かしていたり、同じ筋肉に負担が集中していたりすると、それが腰痛に関わっている可能性はあります。

例えば、股関節を伸ばして脚を後ろへ運びたい場面で、腰を反らせる動きが大きくなることがあります。このような身体の使い方が、腰の負担に関係しているケースも考えられます。

私は、腰痛を考えるときに、筋肉の強さだけでなく、どの動作を得意としていて、どの動作をうまく使えていないのかにも注目しています。

ただし、腰痛の原因は一つではありません。走り方だけでなく、運動量、疲労、睡眠、身体の状態など、さまざまな要因が関係します。

だからこそ、痛みの原因を最初から一つに決めるのではなく、身体の使い方を変えてみて、実際にどのような変化が出るのか確かめることが大切だと考えています。

痛みの出にくい走り方を探してみる

ここからは、ランニングを続けられる状態の方に向けた、具体的な方法を紹介します。

腰痛があるからといって、必ずしも一つの決まったフォームに矯正する必要はありません。

いつもの走り方を少し変えてみて、痛みや身体の感覚がどう変わるかを確かめる。

これが、私がおすすめしたい方法です。

腕の振り方・足の着き方・歩幅を変えてみる

ひとつずつ、変えれるポイントを見ていきましょう。

腕の振り方を変えてみる

腕を前後に振るだけでなく、肩や胸まわりの自然な回旋も意識してみます。それだけでも、上半身や骨盤の動き方も変わることがあります。

腰を無理にひねるのではなく、上半身と下半身がどのように連動するかを確かめてみましょう。

足の着き方を変えてみる

足が身体のどの位置に着いているかを確認します。身体より大きく前に足を出しているなら、歩幅を少し狭くしてみるのも一つの方法です。

反対に、無理に歩幅を狭くしすぎて走りづらくなるなら、その走り方にこだわる必要はありません。かかと着地や前足部着地のどちらかを正解と決めるのではなく、まずは自分がどのように接地しているかを知るところから始めましょう。

歩幅や走るペースを変えてみる

いつもより少し歩幅を小さくしたり、ペースを落としたりしてみます。ただし、ペースを落としたことで痛みが減ったなら、走り方だけでなく運動負荷が減った影響も考えられます。

何を変えたことで違いが出たのかを知るためにも、なるべく一度に多くのことを変えないようにします。

普段、何分で痛くなるかを確認する

例えば、いつも30分ほど走ると腰が痛くなる人がいるとします。その場合は、走行時間を比較の目安にできます。

まずは痛みが強くならない短い時間から試し、走り方を変えたときに、いつもと違う感覚があるかを確かめましょう。症状が悪化しないことを確認できれば、少しずつ走る時間を延ばして比較していきます。

同じようなペース、距離、路面など、条件をなるべくそろえておくと、変化が分かりやすくなります。

ただし、痛みが出るまで走り続ける必要はありません。走っている最中だけでなく、その後や翌日の症状も確認してください。

いつもと違う筋肉が疲れても、失敗とは限らない

走り方を変えてみると、これまで意識していなかった場所が疲れることがあります。例えば、お尻を使うことを意識したら、いつもよりお尻が疲れた。そのような場合、疲れたことだけを理由に「この走り方は自分に合わない」と決める必要はありません。

普段あまり意識していなかった動作では、最初は疲れやすかったり、走りづらかったりすることもあります。もちろん、疲れること自体が正しく使えている証拠でもありません。

痛みがどう変わったか、走り方を無理なく続けられるか、翌日に負担が残らないかを合わせて確認しましょう。

筋トレの「効かせる感覚の余韻」をランニングに活用する

走り方を変えようとしても、どこをどう動かせばよいのか分からないことがあります。そんなとき、私は筋トレで作った感覚を利用する方法もよいと考えています。

例えば、筋トレをした直後に、鍛えた部分がじんわり疲れていたり、筋肉を使った感覚が残っていたりすることはありませんか?

私は、このような感覚を「効かせる感覚の余韻」として利用しています。筋トレで一度その部分を意識しやすくしてから、ランニング中にも同じ場所を使えるか試してみるのです。

ヒップスラストで、お尻を使う感覚を作る

ヒップスラストは、お尻の筋肉を使うトレーニングです。

軽めの負荷でお尻を使う感覚を確かめ、その感覚が残っているうちに、無理のないペースで少し走ってみます。ランニング中に、脚を後ろへ運ぶ動作や骨盤まわりの感覚がいつもと違うかを確認しましょう。

腰を強く反らせてお尻に力を入れるのではなく、股関節を使って動くことを意識してみます。

ラットプルダウンで、背中を使う感覚を作る

ラットプルダウンは、背中の筋肉を使うトレーニングです。

背中を使った感覚が残っている状態で走ると、腕の振り方や上半身の動き方を意識しやすくなるかもしれません。

背中を固めたり、肩甲骨を常に寄せたりする必要はありません。腕を振ったときに背中がどう働くのか、上半身の動きを変えることで走りやすさに違いが出るかを確かめてみましょう。

レッグカールで、もも裏を使う感覚を作る

レッグカールは、主に膝を曲げる動作でもも裏の筋肉を使うトレーニングです。

もも裏を使った感覚を残して走り、脚を後ろへ運ぶときや、接地したあとに脚を動かすときの感覚を比較してみます。

ただし、レッグカールで行う膝を曲げる動作と、ランニング中のもも裏の働きは同じではありません。筋トレで感じた筋肉を、実際の走る動作の中でも意識できるかを試す方法として考えてみてください。

筋トレは追い込む必要はない

ここでの目的は、筋肉を限界まで疲れさせることではありません。あくまでも、身体の使い方を変えるきっかけを作ることです。

強い疲労が残るほどトレーニングすると、かえって走りづらくなったり、フォームが乱れたりする可能性があります。まずは軽い負荷で感覚を確かめ、そのあと短い距離から試してみましょう。

筋トレをしたことで必ず腰痛が改善するわけではありませんが、いつもとは違う身体の使い方を見つけるための一つの方法になります。

コルセットで身体の使い方の違いを感じ取れる?

身体の使い方を確かめる、もう一つの方法として、コルセットがあります。

コルセットには、腰まわりを支えたり、動きを制限したりする働きがあります。そのため、装着するといつもとは違う感覚で身体を動かすことになります。

例えば、腰を大きく反らせたり、ひねったりする動作がしづらくなるかもしれません。私は、このような変化を、身体の使い方を考えるヒントとして利用できるのではないかと考えています。

コルセットで走り方が変わったら?

コルセットを使用している方が、装着した状態と装着していない状態で、身体の使い方や症状に違いを感じることがあります。

ただし、コルセットを巻いたことで痛みが減ったとしても、腰の動きが原因だったと断定できるわけではありません。

それでも、いつもと違う動き方をしたことで痛みの出方に変化があったなら、身体の使い方を見直すきっかけにはなると思います。

なお、慢性腰痛に対してコルセットを日常的に使用し続けることは、一般的には推奨されていません。腰痛がある人に、走行中のコルセット使用を一律におすすめするものではありません。

腹筋を使って、腰の動きを調整してみる

コルセットによる変化を感じた場合、次に考えてみたいのが腹筋の使い方です。

腹筋には、体幹を動かすだけでなく、動きを調整する働きもあります。例えば、腰を大きく反らせてしまう動作が気になるなら、腹部を軽く締めながら、腰の反り方を調整できるか試してみます。

その入口として利用できるのが、ドローインです。ドローインは、息を吐きながら腹部を締める感覚を確かめる練習として使えます。

ただし、走っている間ずっとお腹を固め続ける必要はありません。呼吸や身体の自然な動きを妨げず、必要な場面で腹部の働きを調整できることを目指します。

コルセットと腹筋がまったく同じ働きをするわけではありませんが、道具で感じた身体の変化を、自分の身体操作でも再現できないか考えてみる。

そのような練習のきっかけとして役立てられると思います。

腹筋の使い方やドローインの考え方については、こちらで詳しく解説しています。

痛みが出なかった走り方を、少しずつ身につける

腕の振り方を変えたり、筋トレ後の感覚を利用したりすることで、いつもより走りやすいと感じることがあるかもしれません。

しかし、一度痛みが出なかったからといって、その走り方を長時間続けられるとは限りません。新しい走り方に慣れていない場合、最初は意識するだけでも大変です。

また、普段とは違う筋肉の使い方をすると、その動作に必要な筋持久力が十分ではなく、疲れやすいことも考えられます。

最初は短い時間から慣れていく

例えば、お尻を意識して走ると腰が楽になると感じた場合でも、最初から長い時間続ける必要はありません。

まずは短い時間だけ、その使い方を試してみましょう。無理なく走れるようになったら、少しずつ時間や距離を延ばしていきます。

途中で疲れてフォームが変わったり、腰の痛みが強くなったりするなら、いったん負荷を減らします。新しい使い方に慣れることと、ランニングの距離や速度を増やすことは、分けて考えてもよいでしょう。

走っているときだけでなく、翌日の状態も確認する

走っている最中に痛みがなくても、その日の夜や翌日に症状が強くなる場合があります。そのため、走り終えた直後だけで判断せず、翌日の身体の状態も確認してみましょう。

例えば、次のようなことを記録しておくと比較しやすくなります。

  • どのような走り方を試したか
  • 何分、どのくらいのペースで走ったか
  • どこが疲れたか、痛みがどう変わったか
  • 走り終えたあとや翌日に症状が残ったか

毎回細かく記録する必要はありませんが、変えたことと結果を簡単に残しておくと、自分に合う走り方を考える材料になります。

意識しなくても使えることを目指す

最初は意識しなければできなかった動作も、繰り返し練習することで、少しずつ行いやすくなることがあります。これは、ランニングに限らず、身体の使い方を身につける練習でも同じです。

私は、姿勢や身体の使い方を、一度整えたら終わりのものではなく、練習して身につける技術だと考えています。

大切なのは、ただ痛みを我慢して走ることでも、正しいといわれるフォームを無理に守ることでもありません。

自分の身体をどう使うと走りやすいのか。その使い方を自分で再現できるようになることです。

ただし、痛みには身体の使い方以外の要因も関わるため、練習だけですべての腰痛を改善できるわけではありません。症状が続く場合や悪化する場合は、医療機関で相談してください。

まとめ

慢性的な腰痛があっても、必ずしもランニングをやめる必要はありません。状態によっては、運動量を調整しながら走ることができます。

腰痛と向き合うときは、次の3つを意識してみてください。

  1. 腰痛の状態を確認する。 走り続けられる状態か、運動を控えて受診すべき状態かを見極める。
  2. 身体の使い方を一つずつ変えてみる。 腕振りや足の着き方、筋トレ後の感覚などを利用して、走り方と痛みの変化を確かめる。
  3. 自分に合う走り方を少しずつ身につける。 一度の変化だけで判断せず、走行時間や翌日の状態も確認しながら練習する。

ランニングで腰が痛くなるからといって、必ずしも走ること自体が悪いわけではありません。運動量を見直すことも大切ですが、これまでとは違う身体の使い方を試してみることで、新しい発見があるかもしれません。

ダイエットや健康維持のために始めたランニングを、腰痛だけを理由に諦める前に。無理のない範囲で、自分の身体の使い方にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次