「巻き肩は、何か月くらいで治るのだろう」。整体に通い始めたり、ストレッチや運動を始めたりすると、いつまで続ければよいのか気になりますよね。
ただ、巻き肩がどんな状態で、どこまで変われば「治った」とするのかが曖昧なままでは、終わりを判断できません。巻き肩を改善する期間と、整体や運動を続けるかどうかについて、指導の経験と研究をもとに、私の考えをお伝えします。
巻き肩は、肩が前に入り込んだ姿勢
巻き肩とは、肩が前方に出て、内側に巻き込むように見える姿勢のことです。
私が指導している方では、肩が前に入ると同時に、上がってすくんでいることが多くあります。腕を内側へ捻る動きに伴って、肩が上がる様子も見られます。肩を後ろへ引くことと、下げることは別の動きです。
私の指導では、力を抜くだけでは肩が下がらないこともあります。その場合は、肩を下げる動きを意識して覚える必要があります。そこで、動かす方向をつかむ手がかりを使います。
二の腕を外へ捻って、肩を下げる方向をつかむ
肩を下げる手がかりとして、私は二の腕を外へ捻る動きを使います。指導では、この方向が分かると、肩が下がり、前に巻き込んでいた姿勢から外れることがあります。
腕を横に開き、二の腕を外へ捻る
試すときは、腕を横に開き、中指を肩よりやや前に置きます。位置を決めたら、中指の位置を動かさず、痛くない範囲で二の腕を外側へ捻ってください。胸を強く張ったり、肩を後ろへ引っ張ったりすることが目的ではありません。肩を下げられたかに加えて、前に入り込んでいた肩の位置が変わったかを見ます。
その動きで巻き肩の姿勢から外れたなら、少なくともその場では、自分で別の姿勢を作れたことになります。こうして自分で変えられる姿勢を、私は身体の使い方として捉えています。
「巻き肩を直す」と聞くと、長い時間をかけて身体の形を変えることを想像するかもしれません。でも、動かす方向が分かることで、その場で変えられる部分もあるのです。
捻る動きは、肩の位置を覚えるための入口
外へ捻るのは、肩を下げる感覚を覚えるための入口です。いつも捻っている必要はありません。肩の位置が分かったら、二の腕を捻らずに、練習で確かめた肩の位置へ戻す方法を探していきましょう。

日常で元の姿勢に戻るなら、使い慣れる練習が必要
その場で肩の位置を変えられても、仕事や家事に戻ると、また肩が上がったり、前に入ったりすることがあります。普段も巻き肩の姿勢から外れた状態で過ごしたいなら、ここから練習が必要です。
慣れない姿勢のぎこちなさをどう考えるか
慣れない姿勢を作ると、ぎこちなかったり、疲れたりして、「この姿勢は間違っているのでは」と感じるかもしれません。ゴルフやテニスを初めて練習するときも、フォームそのものがぎこちないものです。一度形をまねできても、すぐに自然な動きで使いこなせるとは限りません。
姿勢も同じように、作る動きを覚えたうえで、普段の場面でも再現する練習をしていくと考えています。ぎこちなさだけで失敗と決める必要はありません。ただし、疲れるほど正しいわけでもありません。力みすぎや動かし方を確かめ、痛みを我慢して続けないでください。
毎日運動することと、日常で姿勢を再現することの違い
練習に関する研究でも、動作の上達、行動の習慣化、実行に必要な注意の減少は分けて扱われています。毎日運動する習慣がつくことと、姿勢を強く意識し続けなくても再現できることは、別々に確かめる必要があります。[1]
姿勢が戻る背景や、動作を身につける考え方はこちら。

巻き肩が治るまでの期間を、一律に決められない理由
このように、その場で姿勢を作ることから、日常でも自然に再現することまでを含めると、「何か月で治る」と一律には決められません。今どこまでできるか、どの場面でできるようになりたいかによって、必要な練習が違うからです。
4週間の研究で分かることと、分からないこと
姿勢の変化を数週間後に調べた研究はあります。座って働く人39人の結果を分析した研究では、自宅での運動を4週間続けた前後で肩の角度などを測り、運動のみの群などで改善が報告されました。[2]
ただし、これは4週間後の測定結果です。変化が始まった日や、仕事中も自然にその姿勢で過ごせるようになった日を調べた研究ではありません。「4週間で治る」という期限にも、「最低4週間は必要」という条件にも、そのまま置き換えられません。
整体院やパーソナルトレーニングジムで期間の目安を聞いたら、その間に何をできるようにするのかも確かめてください。その場の姿勢の変化を目指すのか、普段も再現することを目指すのか。終わりを判断するには、日数と一緒に到達点を共有する必要があります。
整体や運動を続けるかは、今できることから考える
私は、今できることと、まだ難しいことを確かめて、続ける内容を考えます。肩を下げる方向が分からないなら、その動きを覚えることから。自分で姿勢を作れるなら、日常のどの場面で戻ってしまうかを確認するところからです。
整体では、自分で姿勢を作れるかも確かめる
整体に通っている場合も、施術後に姿勢が変わったことに加え、自分でその位置を作れるかを見てください。「今は何を変えるために通っているのか」「次は何を確認して継続や頻度を判断するのか」を担当者と共有すると、期間の説明も具体的になります。
運動は回数を増やす前に、動かし方を見直す
運動を続けても変化が分からないときは、回数だけを増やす前に、動かし方を見直しましょう。疲れや作業環境、動かせる範囲なども確かめます。日常では肩を下へ固定し続けず、腕を挙げるために必要な動きは許し、腕を下ろしたあとなどに位置を捉え直します。
強い痛み、夜間の痛み、しびれ、腕に力が入りにくいなどの症状があるときは、練習を我慢して続けず、整形外科へ相談してください。
まとめ
- 肩を下げる方向が分かると、その場で巻き肩の姿勢から外れることがある。
- 一度作れた姿勢を日常でも再現するには、練習が必要。ぎこちなさを感じても、痛みを我慢せず動きを確かめる。
- 何か月で終わるかは一律に決められない。今できることと目指す状態を確認して、続ける内容を選ぶ。
その場で姿勢が変わったことは、練習の出発点になります。普段もその姿勢で過ごしたいなら、どんな場面でもう一度練習する必要があるかを見ていきましょう。整体に通う期間も、運動を続ける期間も、その課題と結びつけて考えることが大切です。


