筋トレはゆっくりor早く?どっちが正解?収縮を意識する考え方

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筋トレを始めると必ずぶつかる「ゆっくり動かすべきか、早く動かすべきか」という疑問。
あるトレーナーは「ゆっくり効かせて」と言い、別の動画では「爆発的に上げて」と解説していて、混乱していませんか?

この記事では、なぜ速度のコントロールが重要なのか、その理由と明日から使える具体的な実践法まで、わかりやすく解説します。

結論:どっちも正解!でも「目的」がなければ効果は半減します

「ゆっくり動かす派」と「早く動かす派」それぞれの言い分

「ゆっくり動かす方が、筋肉にしっかり効かせられるし安全だ」という意見があります。
一方で、「早く動かす方が、より重いものを扱えてパワーがつく」という意見も、また真実です。
どちらも間違いではないからこそ、多くの方が悩んでしまうのですね。

実は、あなたの「目的」によって正解のスピードは変わるんです!

大切なのは、今のあなたの目的が「筋肉を大きくしたい」のか、「扱える重さを増やしたい」のかをはっきりさせること。
目的が違えば、最適なスピードも変わってきます。
つまり、スピードを自在に操ることが、理想の身体への一番の近道になるのです。

速度のナゾを解く鍵は、筋肉の「3つの働き方」にあり!

そもそも…なぜ「下ろす時が大事」って言われるの?

トレーニングでは、重りを「持ち上げる」動きに注目しがちではないですか?
しかし、本当に重要なのは、実は重りを「下ろす」時の動きに隠されています。
この「下ろす動き」を理解することが、トレーニング効果を飛躍させる第一歩です。

トレーニング効果を左右する「ポジティブ」と「ネガティブ」って何?

トレーニングの一回の動作は、2つの局面に分けられます。
力を入れて持ち上げる動きを「ポジティブ」、重さに耐えながら下ろす動きを「ネガティブ」と呼びます。
多くの場合、この「ネガティブ」局面こそが、筋肉の成長に最も大きな影響を与えているのです。

筋肉の働き方は3種類!これらを制する者が筋トレを制す

トレーニング中の筋肉の働き(収縮)には、大きく分けて3つの種類があります。
この3つの働き方を意識できると、トレーニングの質が劇的に変わりますよ。

①ポジティブ局面(コンセントリック収縮)

これは、筋肉が「縮みながら」力を発揮する状態です。
専門的にはコンセントリック収縮(求心性収縮)と呼ばれ、力こぶを作る時のように、グッと力を入れて重りを持ち上げる動きをイメージしてください。

②ネガティブ局面(エキセントリック収縮)

こちらは、筋肉が「伸びながら」力を発揮している状態です。
エキセントリック収縮(遠心性収縮)と言い、持ち上げた重りを、重力に抵抗しながらゆっくりとコントロールして下ろす動きがこれにあたります。

③キープする局面(アイソメトリック収縮)

筋肉の長さを変えずに、力を入れ続ける状態です。
アイソメトリック収縮(等尺性収縮)と呼ばれ、例えば、スクワットでしゃがんだまま、その姿勢でピタッと静止するような動きですね。

特に「ネガティブ(下ろす動き)」が筋トレの王様である理由

なぜなら、筋肉は「縮む力」よりも「伸びながら耐える力」の方が、より強い力を発揮しやすいです。
そのため、ネガティブ局面(エキセントリック収縮)では筋肉により大きな刺激が入りやすく、それが回復する過程で筋肉がより強く、大きくなるのです。
「ゆっくり動かすと効く」と言われる最大の理由は、このネガティブ局面を丁寧に行えるからなのですね。

収縮の種類は種目を理解するためにも役立つ!

ベンチプレスのポジティブ・ネガティブ局面を示す例

種目の理解度をあげるためにも収縮の種類をしっかり覚えましょう。
例えば、ベンチプレスであれば、押す時はコンセントリック収縮、下げる時はエキセントリック収縮です。
さらに、腹筋や脚も身体を支えるためにつかっているので、アイソメトリック収縮もしている種目です。

どの種目の、どの部分がどの収縮をしているかを理解して、トレーニングすることで筋活動効率を高めることができます。

【明日からできる】目的別の速度コントロール実践ガイド

【初心者さん向け】まずはコレだけ!「スロートレーニング」をマスターしよう

トレーニングを始めたばかり、または効果を実感しにくい方は、まず「ゆっくり下ろす」ことだけを意識してみてください。
これだけで、今までとは全く違う疲労感と効果を感じられるはずです。

なぜ「スロートレーニング」が「効かせやすい」のか?

ゆっくり動かすことで、どの筋肉を使って重りを支えているのかを意識しやすくなります。
この「効いている」という感覚(マインドマッスルコネクション)が養われると、今後のトレーニング効果が大きく変わってきます。

勢いや反動を使わなくなるため、関節への負担が減り、ケガの予防にも繋がりますよ。
※ただし、これは正しいフォームと適切な重量設定が前提です。
 関節に痛みや不安がある方は、必ず医師や専門家にご相談ください

筋トレが効かない?感覚がわからない原因と「効かせるコツ」

具体的な秒数の目安は「1秒で上げて、3秒かけて下ろす」

具体的なリズムは、以下の通りです。

  • ポジティブ(上げる): 1秒でスッと上げる。
  • ネガティブ(下ろす): 「1、2、3」と心の中で数えながら、ゆっくり下ろす。

まずはこのリズムを、すべての種目で試してみてください。

【中〜上級者さん向け】目的別・速度コントロール術

基本のリズムをマスターしたら、次は目的に合わせてスピードを戦略的に変えていきましょう。
これにより、トレーニングの停滞期(プラトー)を打ち破るきっかけにもなります。

目的別で意識するために、こちらもぜひご覧ください。
筋トレ効果を最大化する正しいメニューの作り方

もっとデカくなりたい!「筋肥大」が目的なら

筋肉を大きくすることが最優先の場合は、ポジティブ局面では、コントロールできる範囲内でなるべく早く押しましょう。
筋肉を大きくする「速筋繊維」が活動しやすいからです。

ネガティブ局面では、ゆっくり行うことで「速筋も働かないと耐えられない」状況を作ることができます。

  • ポジティブ: 2秒以内。爆発的すぎず、コントロールされた速度内でなるべく早く上げる。
  • ネガティブ: 2〜4秒。筋肉が伸びていくのを感じながら、じっくりと耐える。
  • その他: 筋肉が最も縮んだ所と伸びた所で各1秒静止するアイソメトリック収縮を取り入れると、さらに刺激が高まります。

もっと強く!「最大筋力」を高めたいなら

扱える重量を伸ばしたい場合は、重い負荷をしっかりとコントロールすることが重要になります。
ゆっくり丁寧に行うことで、力を込める技術自体が向上します。

  • ポジティブ: 1〜2秒。重さに負けないよう、力強く、しかし丁寧に上げる。
  • ネガティブ: 1〜2秒。重さに振り回されず、常にコントロール下に置く意識を持つ。

筋力向上の場合は、速すぎず遅すぎず、一回一回の動作を確実にこなすことが鍵です。

もっと速く!「瞬発力(パワー)」を上げたいなら

スポーツのパフォーマンス向上など、瞬発力を高めたい場合は、ポジティブ局面の速さが最も重要です。
イメージは、筋肉を強力なバネのように使うこと。
下ろす動作でグッとバネを縮めて力を溜め、その反発力を利用して一気に爆発させるのです。

  • ポジティブ: 1秒以内。できる限り爆発的に、速く動かすことを意識する。
  • ネガティブ: 1〜2秒。次の爆発的な動きに備え、力は抜きすぎずにコントロールして下ろす。

ただし、これはフォームが完璧に固まっている上級者向けのテクニックです。

まとめ

  • 筋トレの速度は目的で使い分ける
     筋肉を大きくしたいのか、パワーを上げたいのかによって最適なスピードは変わります。
  • 筋肉を育てるなら「下ろす動き」が鍵
     重さに耐えながらゆっくり下ろすネガティブ局面(エキセントリック収縮)が、最も効果的に筋肉を刺激します。
  • 初心者はまず「ゆっくり下ろす」から
     「1秒で上げて3秒で下ろす」リズムを意識して、安全に「効かせる感覚」を掴みましょう。

これで、トレーニング中のスピードに関する迷いはなくなったのではないでしょうか。
なぜそうするのかという理由がわかると、一回一回のトレーニングの質が深まりますね。

ぜひ次のトレーニングから、この「速度コントロール術」を取り入れてみてください。
きっと、あなたの身体はこれまで以上の嬉しい反応を見せてくれるはずです。

参考文献