猫背や反り腰を気にして、「腰をまっすぐにしなきゃ」と意識していませんか?
ですが、腰の反りを無理にまっすぐにしても、残念ながら良い姿勢にはなれません。
実はその姿勢こそが、腰痛や不調を招く「フラットバック」という状態なんです。
そもそも「フラットバック」って何?猫背や反り腰とどう違うの?
「フラットバックって初めて聞いた…」という方も多いかもしれませんね。
ここでは、フラットバックの正体を分かりやすく解説します。
フラットバックは「腰椎のカーブ」が失われた状態
実は、健康な背骨はゆるやかなS字のカーブを描いています。
このカーブがバネのような役割をして、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収してくれているんです。
フラットバック(別名:ストレートバック)とは、この大切なS字カーブのうち、特に腰椎(ようつい)と呼ばれる腰の骨のカーブがなくなり、骨盤から背中にかけてが平ら(フラット)になってしまった状態を指します。

横から見ると一目瞭然!姿勢タイプ別比較
それぞれの姿勢には、見た目にも機能にも大きな違いがあります。
姿勢タイプ | 特徴 |
理想的な姿勢 | 耳、肩、骨盤、くるぶしが一直線に並び、背骨は自然なS字を描いている。 |
猫背 | 背中が丸まり、あごや肩が前に出やすい。 |
反り腰 | 腰が過剰に反ってしまい、お腹がぽっこりと前に出て見えることがある。 |
フラットバック | 腰がまっすぐで、お尻が平らに見えやすい。 |
「腰がまっすぐ」なのに、なぜ身体に悪いの?
「まっすぐで綺麗な姿勢に見えるのに、なんでダメなの?」と思いますよね。
腰椎のカーブという優秀なクッションがないと、身体にはこんな負担がかかってしまうんです。
- 衝撃がダイレクトに伝わる
腰や首に直接ダメージが蓄積し、椎間板ヘルニアなどのリスクも高まります。 - 筋肉が常に緊張状態
背骨を支えようと周りの筋肉が過剰に働き、慢性的な肩こり、首こり、頭痛の原因になります。 - バランスが取りにくい
身体の重心が後ろに傾きがちになり、バランスを取ろうとして疲れやすくなったり、転びやすくなったりします。 - 内臓への影響も…
背骨の歪みは胸郭の動きを制限し、呼吸が浅くなったり、自律神経が乱れたりすることもあります。
あなたも隠れフラットバックかも?30秒でできるセルフチェック
「もしかして私も…?」と不安になった方、簡単な方法でチェックしてみましょう。
特別な道具は必要なく、壁さえあればすぐにできますよ。
壁を使った簡単チェック法
- 壁を背にして、かかと、お尻、背中、後頭部をつけてまっすぐ立ちます。
- 腰と壁のすき間に、ご自身の「手のひら」を入れてみてください。
- 判定の目安
- 手のひらがギリギリ入る
理想的な腰椎カーブです! - 手のひらがスカスカ入る(拳が入る)
「反り腰」の可能性があります。腰のカーブが強すぎます。 - 手のひらが入らない
「フラットバック」の可能性が高いです!腰椎のカーブが失われています。
- 手のひらがギリギリ入る
こんな生活習慣ありませんか?フラットバックの主な原因
フラットバックは、日々の何気ない習慣の積み重ねで起こることがほとんどです。
ご自身の生活を振り返ってみましょう。
- 長時間同じ姿勢でのデスクワークや立ち仕事
- スマホを見る際のうつむき姿勢
- 骨盤が後ろに倒れた「ずっこけ座り」
- 運動不足によるお腹やお尻の筋力低下
- 柔らかすぎる、または硬すぎる寝具の使用
今日から始めよう!フラットバック改善のための簡単3ステップ
大丈夫、気づいた今が改善のチャンスです。
ガチガチになった筋肉をほぐし、弱った筋肉を鍛えて、理想の腰椎カーブを取り戻しましょう。
ステップ1:まずはほぐそう!おすすめストレッチ
フラットバックの方は、太ももの裏側(ハムストリングス)の筋肉が硬くなっていることが多いです。
まずはここをしっかり伸ばして、骨盤が動きやすい状態を作りましょう。
もも裏(ハムストリングス)を伸ばすストレッチ
- 椅子に浅く腰掛け、片方の足を前に伸ばします。かかとは床につけ、つま先は天井に向けましょう。
- 背筋を伸ばしたまま、股関節から身体を前に倒していきます。
- 太ももの裏が「気持ちよく伸びる」と感じるところで20〜30秒キープします。
- 反対の足も同様に行います。
※注意点:背中が丸まらないように意識するのがポイントです。
▶ハムストリングスとは?姿勢や腰痛予防のためのストレッチのコツ
背骨を動かすストレッチ(キャット&カウ)
床に四つん這いになります。手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きましょう。
息をゆっくり吐きながら、おへそを覗き込むように背中をぐーっと丸めます。
次に息を吸いながら、今度は背中を反らせて胸を開き、視線を斜め上に向けます。
この動きを10回ほど、呼吸に合わせてゆっくり繰り返します。
▶キャット&カウで良い姿勢を作る?背骨と腹筋の連動トレーニング
ステップ2:弱った筋肉を鍛えよう!簡単エクササイズ
背骨を正しい位置で支えるためには、お尻や体幹のインナーマッスルを鍛えることが不可欠です。
きついトレーニングは必要ありません。
回数を重ねて身体に正しい姿勢を覚えさせましょう。
お尻を鍛える「ヒップリフト」
- 仰向けになり、両膝を90度くらいに立てます。足は腰幅に開きましょう。
- お尻の筋肉を意識しながら、ゆっくりと床から持ち上げます。肩から膝までが一直線になるのが目安です。
- 一番高い位置で2〜3秒キープし、ゆっくりと元の位置に戻ります。
- この動きを10〜15回繰り返しましょう。
お腹を意識する「ドローイン」
- 仰向けになり、膝を軽く立てます。
- 息をゆっくりと「ふーっ」と吐きながら、お腹をへこませていきます。
- お腹を薄い状態にしたまま、浅い呼吸を30秒ほど続けます。
- 息を吐くたびに、腹筋の収縮を感じましょう。
※注意点:腰で床を強く押さないようにしましょう。下腹部に軽く手を当てると意識しやすくなります。
ステップ3:日常のクセを見直そう!
せっかくストレッチや運動をしても、普段の姿勢が悪ければ元に戻ってしまいます。
日常のちょっとした意識が、改善への一番の近道です。
座り方
坐骨(座った時にお尻の下でゴリゴリ当たる骨)で座るように意識し、骨盤を立てましょう。
お尻の下に丸めたタオルを敷くと、骨盤が立ちやすくなります。
立ち方
重心を少しだけつま先寄りに意識し、膝を軽くゆるめるイメージで立ちましょう。
壁に寄りかかったり、片足に体重をかけたりするクセがある方は要注意です。
まとめ
今回は、意外と知られていない悪い姿勢「フラットバック」について解説しました。
最後に、大切なポイントを3つにまとめます。
- 良い姿勢はS字カーブ
特に腰椎(腰の骨)のカーブがないフラットバックは、衝撃を吸収できず身体に負担をかけます。 - 壁チェックで確認
壁に背をつけた時、腰のすき間に手のひらが入らない方はフラットバックの可能性があります。 - 「ほぐす・鍛える・意識する」
ストレッチと簡単な運動、そして普段の姿勢への意識が改善の鍵です。
いつも身体を支えてくれている背骨からのサインに気づいてくださいね。
腰痛や肩こりは、身体が「少し休んで、身体の使い方を見直して」と教えてくれているのかもしれません。
今回のセルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、しびれなど他の症状がある場合は、我慢せずに専門家に相談しましょう。
今日から少しずつ、ご自身の身体と向き合う時間を作ってみてくださいね。
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柔道整復師/姿勢改善パーソナルトレーナー
さいたま柔整専門学校卒業。
三郷市内グループ接骨院で院長を歴任。
現在、「姿勢改善Studio きずな日暮里」を運営中。