「ビジョントレーニング」って言葉、最近よく耳にするけど、一体どんなものなの?
なんだかスポーツ選手がやる特別なトレーニングってイメージがあるけど、私たちにも関係あるのかな…。
そんな風に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
実はこのビジョントレーニング、単に「目が良くなる」だけじゃない、もっと奥深い「見る力」と「脳の力」を鍛えるものなんです。
アスリートはもちろん、子どもから大人まで、毎日の生活や学習、仕事のパフォーマンスアップにも繋がるかもしれない、その秘密を一緒に見ていきましょう。
あなたの知らなかった可能性が、ここに見つかるかもしれませんよ!
ビジョントレーニングの世界へようこそ!「見る力」があなたの可能性を広げる
「ビジョントレーニングって、なんだか難しそう…」。
そう感じている方も、ご安心ください。
この記事では、「ビジョントレーニングとは何か?」という基本から、どんな効果が期待できるのか、そしてどんな視機能を鍛えられるのかまで、わかりやすくご紹介します。
あなたの日常や目標達成に役立つヒントが、きっと見つかるはずです。
ビジョントレーニングって一体何?~ただの視力検査とは違う「見る力」の世界~
「見る」という行為は、私たちが思っている以上に複雑で、奥深い能力です。
ビジョントレーニングは、その「見る力」を総合的に高めるためのアプローチなんですよ。
まずは、その基本の考え方から見ていきましょう。
「見る力」って視力だけじゃないの?
学校の視力検査で「1.0でした!」と喜んだ経験、ありますよね。
あの検査で測っているのは「静止視力」といって、止まっているものをどれだけ細かく見分けられるか、という能力の一部です。
でも、私たちが日々使っている「見る力」は、それだけではありません。
例えば、飛んでくるボールを目で追ったり、人混みの中で友人を見つけたり、本をスムーズに読んだり…。
これらはすべて、視力検査の数値だけでは測れない、さまざまな「視機能」が連携して働いている結果なんです。
ビジョントレーニングは、この多様な視機能全体をターゲットにしています。
ビジョントレーニングの目的は「脳力」アップ!
ビジョントレーニングは、単に目の筋肉を鍛えるだけのものではありません。
目で捉えた情報を、脳が素早く正確に処理し、そしてその情報に基づいて体が適切に反応するまでの一連の流れをスムーズにするのが大きな目的です。
つまり、「目と脳と体のチームワーク」を良くするトレーニング、と言えるかもしれません。
目で見たものを「理解」し、「判断」し、「行動」に移す。
このプロセス全体の効率を高めることで、スポーツのパフォーマンス向上はもちろん、学習効率のアップや日常生活の質の向上にもつながると考えられています。
まさに「視覚的な脳力トレーニング」とも呼べるでしょう。
ビジョントレーニングは、元々アメリカ空軍のパイロット訓練法として開発され、現在では様々な分野で応用されています。参考文献:日本ビジョントレーニング普及協会『ビジョントレーニングとは』(2024)
こんなにたくさん!ビジョントレーニングで鍛えられる驚きの「視機能」たち
では、具体的にビジョントレーニングではどんな「視機能」を鍛えることができるのでしょうか。
代表的なものをいくつかご紹介します。
これらが組み合わさって、あなたの「見る力」を支えているんですよ。
① 動体視力:動くものも逃さない!
「動体視力」とは、動いている目標物をはっきりと目で捉え、追い続ける能力のことです。
スポーツでは、飛んでくるボールや素早く動く相手選手を正確に認識するために不可欠ですね。
日常生活でも、道路を横断する際に近づいてくる車を認識したり、スポーツ観戦を楽しんだりする際に役立っています。
この能力が高いと、動きの変化にも素早く対応できるようになります。
▶動体視力とは?スポーツから日常生活まで活かせる「見る力」を完全解説
② 眼球運動:スムーズな情報収集の要!
「眼球運動」は、見たいものに素早く正確に視線を移動させたり、動くものを滑らかに追いかけたりする目の動きのことです。
本を読むときの行の移動(跳躍性眼球運動)、黒板の文字をノートに書き写すときの視線移動、スポーツでボールを目で追う動き(追従性眼球運動)などがこれにあたります。
スムーズな眼球運動は、効率的な情報収集や、目の疲れにくさにも関係しています。
▶眼球運動とは?目の動きがもたらす日常生活への影響とトレーニング方法
③ 周辺視野:広く世界を捉えるセンサー!
「周辺視野」とは、視線を向けている中心点の周りに広がる、ぼんやりと見える範囲のことです。
意識していなくても、この広い範囲から情報をキャッチできるため、危険を察知したり、全体の状況を把握したりするのに役立ちます。
サッカー選手が顔を動かさずに味方の位置を把握したり、運転中に横から出てくる自転車に気づいたりするのは、この周辺視野のおかげです。
▶周辺視野トレーニングで「見える世界」が変わる!日常生活からスポーツまで活用できる方法
④ 瞬間視:一瞬で把握する力!
「瞬間視」は、ごく短い時間だけ見たものを記憶し、それが何だったかを正確に理解する能力です。
例えば、道路標識や看板の内容をサッと見て把握したり、スポーツの試合中に相手チームの選手の配置を一瞬で読み取ったりする場面で活躍します。
たくさんの情報の中から、必要なものを素早くピックアップする力とも言えますね。
この能力は、判断のスピードにも直結します。
瞬間視を高めるトレーニングも、ゲーム感覚でできるものがたくさんありますよ。
▶瞬間視とは?一瞬で情報をキャッチする驚きの能力を徹底解説!
⑤ 深視力・立体視:距離感マスターへの道!
「深視力・立体視」は、物までの距離感や、空間の奥行きを正確に捉える能力です。
両目を使って物を見ることで、私たちはその対象がどれくらい手前にあるのか、あるいは奥にあるのかを認識しています。
車の運転免許を取得する際に検査されることもありますね。
スポーツでは、ボールとの距離感を正確に測ったり、相手との間合いを調整したりするのに重要です。
階段の上り下りや、物にぶつからずに歩くといった日常動作にも欠かせません。
この距離感の精度を高めることも、ビジョントレーニングの得意分野の一つです。
▶深視力とは?普通の視力との違いから検査合格のコツまで徹底解説!
⑥ 目と手の協応動作:見て、動かす!連携プレー!
「目と手の協応動作」とは、目で見た情報に合わせて、手や指、あるいは足などを正確かつスムーズに動かす能力のことです。
「ハンドアイコーディネーション」とも呼ばれます。
ボールをキャッチする、文字を書く、楽器を演奏する、キーボードをタイピングするなど、私たちの身の回りの多くの動作がこの能力に支えられています。
目で見たものを正確に手で操作する、まさに目と体の連携プレーですね。
この協応動作を鍛えることは、スポーツの技術向上だけでなく、日常生活での作業効率アップにもつながります。
▶ハンドアイコーディネーションとは?目と手の連携が生み出す驚きの能力を徹底解説!
⑦ コントラスト感度:微妙な違いも見抜く!
「コントラスト感度」とは、背景と対象物の色の濃淡や明暗の、わずかな違いを見分ける能力のことです。
視力検査では測られないことが多いですが、実は非常に重要な視機能です。
例えば、薄暗い部屋で床に落ちているものを見つけたり、霧や雨の中で運転する際に前方の車や障害物を認識したりするのに役立ちます。
文字がかすれて見えたり、物の輪郭がぼやけて見えたりする場合、このコントラスト感度が低下している可能性も考えられます。
クリアな視界を保つためにも、このコントラスト感度を意識することは大切です。
▶コントラスト感度って何?視力が良くても見えづらい理由がわかる!
誰にでもメリットが?ビジョントレーニングの嬉しい効果とは
これだけたくさんの視機能を鍛えられるビジョントレーニング。
では、実際にどんな方にとって、どんな嬉しい効果が期待できるのでしょうか。
スポーツ選手だけのもの、と思ったら大間違いですよ!
スポーツパフォーマンス向上は鉄板!
これは多くの方がイメージしやすいかもしれませんね。
野球、サッカー、テニス、バスケットボール、格闘技など、ほとんどのスポーツで「見る力」は勝敗を左右する重要な要素です。
動体視力でボールを捉え、周辺視野で味方や相手の位置を把握し、瞬間視で状況を判断し、目と手の協応動作で正確なプレーにつなげる…。
ビジョントレーニングは、これらの能力を総合的に高め、アスリートのパフォーマンスを新たなレベルへと引き上げる手助けをします。
反応速度の向上や、ミスの減少にもつながるでしょう。
子どもの学習能力や運動能力アップにも?
実は、ビジョントレーニングは子どもたちの成長にも良い影響を与えると考えられています。
例えば、スムーズな眼球運動は、本を読んだり、黒板の文字をノートに写したりする学習活動の基礎となります。
文字を正確に目で追うことができれば、読み飛ばしが減ったり、集中力が続きやすくなったりするかもしれません。
また、目と手の協応動作の発達は、ボール遊びや縄跳びといった運動能力の向上、さらにはハサミを使ったり、絵を描いたりといった手先の器用さにもつながります。
「見る力」は、学ぶ力、遊ぶ力の土台なんですね。
日常生活の質を高め、安全運転にも貢献!
ビジョントレーニングの効果は、日常生活の様々な場面でも実感できます。
例えば、周辺視野が広がることで、人混みでの歩行がスムーズになったり、つまずきにくくなったりするかもしれません。
深視力や動体視力の向上は、安全運転に直結します。
車間距離を正確に把握したり、急な飛び出しに素早く反応したりする能力が高まれば、事故のリスクを減らすことにもつながるでしょう。
「見る力」を鍛えることは、日々の暮らしをより安全で快適なものにしてくれる可能性を秘めています。
もしかして:eスポーツやクリエイティブ作業にも?
近年注目されているeスポーツの世界でも、ビジョントレーニングは非常に有効です。
画面上の膨大な情報を瞬時に処理し、的確な判断を下し、素早く正確な操作を行うためには、高いレベルの視機能が求められます。
また、デザイナーやイラストレーターといったクリエイティブな作業においても、細部を見分ける力や、空間を把握する力は重要です。
集中力を持続させるためにも、目の疲れを軽減するような視機能のトレーニングは役立つかもしれませんね。
活躍の場は、どんどん広がっています。
ビジョントレーニングってどうやるの?代表的な方法をチラ見せ!
「ビジョントレーニングに興味が出てきたけど、具体的にどんなことをするの?」。
専門的なイメージがあるかもしれませんが、実は身近なところから始められるものもあるんですよ。
ここでは、代表的なアプローチのヒントを少しだけご紹介します。
プロの指導を受けるのがベスト?
より専門的で、自分に合ったビジョントレーニングを行いたい場合は、眼科医や視能訓練士、専門のトレーナーといったプロの指導を受けるのが最も効果的です。
詳細な視機能検査に基づいて、個々の課題や目標に合わせたトレーニングプログラムを組んでもらえます。
特に、スポーツパフォーマンスの向上を本格的に目指す方や、視機能に何らかの課題を感じている方は、一度相談してみるのが良いでしょう。
専門機関では、専用の機器を使った高度なトレーニングも可能です。
自宅でできる簡単トレーニングのヒント
プロの指導がベストではありますが、日常生活の中で意識したり、簡単なツールを使ったりして、視機能を刺激することもできます。
例えば…
- ナンバータッチ: 画面や紙にランダムに配置された数字を順番にタッチしていく、おなじみのトレーニングですね。周辺視野や瞬間視、目と手の協応動作などを鍛えるのに効果的です。
▶ナンバータッチにチャレンジしてみましょう! - 眼球運動の体操: 目を上下左右、斜め、ぐるりと回すといった簡単な動きだけでも、目の筋肉をストレッチし、柔軟性を高めるのに役立ちます。
- 一点を見つめて意識を広げる: 何か一点を数秒見つめた後、視線はそのままに意識だけを周囲に広げていくトレーニングは、周辺視野を意識する良い練習になります。
これらのトレーニングは、楽しみながら続けることが大切です。
継続が力なり!楽しむ工夫も大切
どんなトレーニングもそうですが、ビジョントレーニングも一度やっただけですぐに効果が出るものではありません。
大切なのは、無理なく、楽しみながら継続することです。
ゲーム感覚で取り組めるアプリを利用したり、家族や友人と一緒に時間を決めて行ったりするのも良いでしょう。
自分の「見る力」が少しずつ変化していくのを感じられると、モチベーションもアップしますよ。
焦らず、自分のペースで取り組んでみてください。
まとめ
ビジョントレーニングは、単なる視力回復とは異なり、目で見た情報を脳で処理し、行動に移すまでの一連の「見る力」を総合的に高めるアプローチです。
- 鍛えるのは多様な「視機能」
動体視力、眼球運動、周辺視野、瞬間視、深視力、目と手の協応動作など、様々な能力が対象です。 - 効果はスポーツから日常まで幅広い
アスリートのパフォーマンス向上だけでなく、子どもの学習支援、安全運転、生活の質の向上にも貢献します。 - 今日から意識できることがある
専門家の指導が理想ですが、自宅で手軽に始められるトレーニングや意識の持ち方もあります。
この記事を読んで、「ビジョントレーニングって、なんだか面白そう!」「自分にも関係がありそう!」と感じていただけたら嬉しいです。
「見る力」は、私たちが世界と関わるための大切な窓口です。
その窓を磨き、よりクリアに、より広く、より深く世界を捉えられるようになることで、あなたの可能性はもっともっと広がっていくはずです。
ぜひ、ビジョントレーニングという新しい扉を開いてみてくださいね!

柔道整復師/姿勢改善パーソナルトレーナー
さいたま柔整専門学校卒業。
三郷市内グループ接骨院で院長を歴任。
現在、「姿勢改善Studio きずな日暮里」を運営中。