スマホ首・ストレートネックの原因は“使えていない筋肉”?

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ストレートネックって、名前はよく聞くけど、何がどうなってるのかわからない。
首が痛くて、肩もこって、整体に通ってもすぐ戻ってしまう。

それは、「元に戻ってしまう原因」が変わっていないからかもしれません。

この記事では、ストレートネック・スマホ首が繰り返される本当の理由と、その対処法をわかりやすく解説します。

スマホ首、なぜ治らない?実は「使い方のクセ」が根本原因だった!

ストレートネック(スマホ首)って結局なに?

ストレートネック(スマホ首)とは、本来ゆるやかなカーブを描いている首の骨(頸椎)が、まっすぐに近づいている状態を指します。
首の自然なカーブが失われることで、頭を支える筋肉や関節に過剰な負担がかかりやすくなります。

この状態が長く続くと、首の痛みが起きやすくなります。
さらに、肩こりや頭痛、時には腕のしびれまで起こることがあります。

見た目には「頭が前に出ている」「猫背っぽく見える」といった特徴が出やすく、写真で気づく方も少なくありません。

ストレートネックの例。女性がソファーに座ってスマートフォンを操作している。

スマホのせい?姿勢だけじゃない本当の原因

「スマホばかり見てるから」「姿勢が悪いから」
そう言われても、気をつけてもすぐ戻ってしまう。
それは単なる姿勢の問題ではなく、“使い方のクセ”が根本にあるからです。

人の頭は約5kgあります。
アゴを前に突き出す姿勢になると、首の筋肉は本来のバランスを失います。
そうすると、負担をかける必要のない筋肉が代わりに頑張るようになります。

その中心的な筋肉が「後頭下筋群」です。
これは、後頭部と首の付け根に付着していて、頭を支えるためにこの筋肉が緊張しっぱなしになり、結果としてストレートネックに陥っていくのです。
後頭部・首の付け根のこりは“奥の筋肉”が原因?後頭下筋群と姿勢・ストレートネックの関係

この後頭下筋群が働きすぎないように、その反対にある筋肉たち「椎前筋」を上手に使えるようにする必要があります。

椎前筋とは?

椎前筋(ついぜんきん)」とは、首の奥深くにある4つのインナーマッスル総称です。
「深頸屈筋群(しんけいくっきんぐん)」や「頸部深層屈筋群(しんぶしんそうくっきんぐん)」とも呼ばれます。

構成するのは次の4つの筋肉です。

  • 前頭直筋(ぜんとうちょっきん)
  • 頚長筋(けいちょうきん
  • 外側頭直筋(がいそくとうちょっきん)
  • 頭長筋(とうちょうきん)

顎を軽く引いたり、首を曲げる動きで働き、頭を正しい位置で支える役割を果たします。

デスクワークやスマホ使用で首が前に出る姿勢が続くと、この筋肉が働かなくなり、いわゆる“サボり筋”状態に。
その結果、表面の筋肉が代わりに緊張し、負担が集中します。
そして、首こり・肩こりやストレートネックにつながりやすくなります。

反対の筋肉、椎前筋がしっかり働くことで、首全体のバランスが安定します。
姿勢も保ちやすくなります。
根本から整えるには、この筋肉を“使えるようにする”ことが欠かせません。

椎前筋(頸部深層屈筋群)の4つの筋肉(外側頭直筋、前頭直筋、頭長筋、頸長筋)の3Dモデル解剖図。

※画像出典:
© 2025 Visible Body より「Human Anatomy Atlas」の画面を引用
(解説目的および情報提供のために使用)
https://www.visiblebody.com/

ほぐしてもストレッチしても戻るのはなぜ?

「ほぐしても楽にならない。」「戻りが早い。」
そう感じる方は、表層の筋肉だけをケアしているかもしれません。

首の奥にある椎前筋は、意識して使わないと活性化しません。
そして、スマホを見る姿勢のように、頭を前に突き出したままだとこの筋肉は“サボって”しまいます。

そうなると、姿勢を支えるために胸の筋肉や肩の筋肉ばかりが働き、首の奥の筋肉はどんどん弱くなっていきます。

結果、首の持久力が落ち、いい姿勢を保とうとしてもすぐに崩れてしまうのです。

実際の研究でも、スマホの使用時間が長いほど、首の筋肉の持久力が低下することが示されています。
筋持久力の低下は、慢性的な不調の要因となるのです。

本当に必要なのは“使い方”の練習

改善に必要なのは、正しい姿勢を「形として作る」ことではありません。
「正しい姿勢を支えられる体」を育てることです。

そのカギを握るのが、椎前筋の使い方。
これを意識してトレーニングすることで、姿勢を支える力そのものを底上げできます。

椎前筋を意識したエクササイズ例

①仰向けに寝て、軽くあごを引く(天井に対して首をまっすぐにする)
②頭をほんの少し浮かせ、喉の奥に力が入る感覚を探す
③その状態を5秒キープし、10回繰り返す

ポイントは、首の前側を「軽く引き込む」感覚です。
首の後ろ側が硬くならないように意識すると、深層の筋肉が働きやすくなります。

首まわりの筋力強化も効果的

強化運動には、筋持久力を高める目的もあります。
軽い負荷で、姿勢を保ちながら動作を行うことで、自然と筋肉の「支える力」が育っていきます。

研究では、首の筋肉を活性化させるよりも、筋力を強化するほうが改善効果が高いとする報告もあります。
運動の組み合わせによって、より再発しにくい状態を目指すことが可能です。

まとめ

姿勢のクセは、気づかないうちに筋肉の使い方を変えてしまいます。
見た目だけを正すのではなく、その奥にある“支える力”に目を向けることが大切です。

本当に必要なのは、使い方を変える「ちょっとした練習」です。
正しく使えば、首はもっと楽に支えられるようになります。


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