骨盤が左右で違う気がする
ズボンがずり落ちる方向がいつも同じ
写真で自分の姿勢を見ると、なんだか傾いて見える…
実は、骨盤が“歪んでいる”と感じるその正体は、骨のズレではありません。
クセによって筋肉のバランスが崩れ、「傾いて見えるだけ」のことがほとんどです。
この記事では、骨盤の傾きの3タイプとセルフチェック方法、
その原因と整え方をわかりやすくまとめて解説します。
骨盤の構造は“歪まない”?本当の原因を整理しよう
骨盤とは、腸骨・仙骨・坐骨・恥骨などが組み合わさってできた、がっしりとした骨の土台です。
その中でも「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」と呼ばれる部分だけが、ほんのわずかに動きます。
ただしその動きはミリ単位。
前後に数ミリ動くだけで、ズレる・歪むといったレベルの話ではありません。
つまり──
骨盤が“歪んで見える”のは、構造の問題ではなく、
筋肉の使い方や姿勢のクセによって、外からそう見えるだけなのです。
「骨盤の傾き=クセ」の理由とは?
例えば片方の足に体重をかけるクセがある
反り腰のまま立つ時間が長い
座るときにいつも同じ方向に足を組む
こうした日常のクセは、筋肉の張力に偏りを生みます。
筋肉に引っ張られた骨盤が「傾いたように見える」状態になります。
これは「骨盤が歪んだ」のではなく、「筋肉に引っ張られて傾いた」状態です。
だからこそ、骨盤の傾き=筋肉の使い方のクセ=歪みの正体、と言えるのです。
骨盤の傾きは3種類!自分のタイプを見極めよう
骨盤の傾きは大きく分けて次の3タイプに分類できます。
骨盤の前傾・後傾とは?反り腰や猫背の関係
- 前傾:骨盤が前に倒れ、腰が反りやすくなります
- 後傾:骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まりやすくなります

【チェック方法】
- 横から見て、腰の反りが強く、腹が突き出ている → 前傾の傾向
- 腰が丸まり、お尻が垂れ気味 → 後傾の傾向
腰痛や反り腰、猫背に関係しやすいポイントです。
左右の高さが違う?骨盤の左右傾きチェック
- 左が高い/右が高いなど、どちらかに重心が偏る傾きです

【チェック方法】
- まっすぐ立って鏡を見る
- 腰骨の左右の高さがズレている
- 靴底の減り方が左右で違う
この傾きは、立ち方や片足重心のクセと関連しやすいです。
骨盤がねじれている?回旋タイプの特徴と確認法
- 左右の骨盤がねじれ、体の向きや動作に偏りが出るタイプ
【チェック方法】
- 正面を向いているのに、ウエストラインが左右非対称に見える
- 立ったときに片足だけ外向きになる
椅子で足を組む、寝るときにいつも同じ方向を向いているとなりやすいです。
注意!骨盤の傾きは複合パターンで現れることが多いです
骨盤の傾きは、単体で起きるというよりも、
前傾・後傾や左右傾きとの複合パターンで現れることが多いです。
たとえば、
左骨盤が前に出て(左回旋)+右骨盤が高くなる(左右傾き)でバランスを取ろうとしたり、
骨盤が前傾しながら左骨盤が高い(前後+左右傾き)
というように混在している場合も多いため、
全体の姿勢チェックや動きのクセを見ることが大切です。
正しい骨盤の位置「ニュートラル」とは?
ニュートラルとは、前後・左右・ねじれのどれでもないバランスが整った位置。
- 横から見ると、耳・肩・腰・くるぶしが一直線(良い姿勢)
- 腰はほどよいカーブで力みがない
ニュートラルがとれていれば、姿勢も整いやすく、負担が少ない体の使い方ができます。
▶骨の軸で支える良い姿勢とは?メリット・チェック・トレーニングまとめ
なぜ傾く?骨盤のクセを生む3つの要因
姿勢と習慣がつくる“筋バランス”のズレ
座る姿勢・立ち姿・歩き方…
日常動作の積み重ねが、筋肉の使い方を偏らせます。
- 左右で筋肉の張りが違う
- 片側だけ腰が張る
- お尻やモモ裏が硬い
筋バランスの崩れが、骨盤の傾きを作る大きな原因です。
呼吸や歩き方のクセが骨盤に与える影響
浅い呼吸や胸だけで息をするクセは、体幹の力を弱めます。
また、ペタペタ歩きや内股歩きも骨盤周りに偏りを与える要因です。
骨盤は身体の“中心”なので、呼吸や歩行といった無意識の動作の影響を強く受けます。
仙腸関節はほぼ動かない?骨そのものはズレてない理由
先述の通り、骨盤の関節である仙腸関節はミリ単位しか動きません。
そのため、レントゲンやMRIで「歪んでいる」と診断されることはありません。
傾き=筋肉と姿勢の連動による“見かけのズレ”
だからこそ「整える=筋肉のバランスを取り戻すこと」が必要です。
傾きリセット!骨盤を整える3ステップアプローチ
①傾きのクセに気づくセルフチェック
日常のクセに気づくことが第一歩です。
- 鏡で左右の高さをチェック
- 写真を撮って姿勢を確認
- 片足に体重を乗せるクセがないか振り返る
「いつもどっちに傾いているか」を知ることが改善のスタートです。
②骨盤を動かして感覚を育てるトレーニング
ニュートラルの感覚を育てるには、動かして認識することが大切です。
【おすすめエクササイズ】
- キャット&カウ(四つ這いで骨盤を前後に動かす)
キャット&カウで良い姿勢を作る?背骨と腹筋の連動トレーニング - 骨盤回し(椅子に座って腰だけを円を描くように動かす)
- ドローイン+お尻締め(腹横筋と骨盤底筋を意識)
▶ドローインとブレーシングはどう違う?腹筋の使い分けで姿勢も変わる!
“使うべき筋肉”を再教育するような動きが有効です。
③ニュートラルを維持する日常の工夫
整った骨盤も、生活の中で元に戻ってしまうこともあります。
そのためには、「戻らない環境づくり」が必要です。
【実践ポイント】
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 座るときは坐骨で座る
- 歩くときはかかと着地を意識する
維持できれば、腰痛や姿勢の悩みに振り回されない体へと近づけます。
【専門家の戦略】まずは前後バランスを整えることが優先
骨盤の歪みを整えるには、まず前後の傾きを整えることが最優先。
前後バランスが整うだけで、左右差も自然と改善されることが多いからです。
左右の骨盤の高さに2cm以内の差がある場合、多くは気にしなくても問題ありません。
人間には利き手・利き足があり、完全な左右対称ではないのが自然な状態だからです。
もし、肩こりや腰痛など左右差による不調が強く現れている場合は、
“左右のどちらでも同じように動ける”ように練習することが大切です。
「右が高いから左を上げる」など、無理やり対称にしようとする意識は逆効果です
→ 反対側に偏った新たなクセが身につき、かえってバランスが崩れやすくなります。
クセは急にゼロにはできません。
少しずつクセを減らし、ニュートラルへと近づける戦略がもっとも現実的で効果的です。
骨盤の傾きと関係が深い症状・悩みまとめ
腰痛・肩こり・股関節痛とのつながり
骨盤が傾くと、背骨や筋肉のバランスも崩れます。
その影響で腰や肩、股関節に過剰な負担がかかります。
- 腰だけ片側が痛む
- 首や肩の張りが取れない
- 股関節の動きが左右で違う
こういった不調は、骨盤の傾きが関係している可能性があります。
姿勢改善・ボディライン・冷えとの関連
骨盤が整うと、背骨のS字カーブも正しくなり、姿勢がきれいに見えます。
また、内臓の位置も安定しやすく、血流改善や代謝アップにも好影響。
- バストやヒップラインが上がる
- 下腹ぽっこりが改善される
- 手足の冷えが和らぐ
美容面や冷え性改善にもつながる、大事な土台です。
まとめ
- 骨盤の傾き=筋肉のクセが作る“見かけの歪み”
- 前後・左右・ねじれの3タイプに分類できる
- 整えるには「気づく→動かす→維持する」の3ステップが重要
クセを整えることは、姿勢や痛みの根本改善にもつながります。
「歪んだように見える」が「歪み」と表現されています。
「骨盤を歪ませているのは自分の習慣だった」ことに気づいた方は、
ぜひ今日からリセットの一歩を始めてみてください。