偏平足に悩んでいると、長時間の歩行や立ち仕事がつらく感じられることも多い。
靴選びやインソールに頼ってみても、なかなか根本的に改善されない…。
実はその偏平足、「足の筋肉が使えていないこと」が原因かもしれません。
この記事では、偏平足の仕組みとその改善方法について、やさしく分かりやすく解説します。
治すために大切な“ある筋肉”にも注目しながら、今日からできるステップを紹介していきます。
偏平足って治せるの?まずは仕組みと原因を知ろう
偏平足とは?土踏まずがなくなるってどういうこと?
偏平足は、足裏の「土踏まず(内側縦アーチ)」がなくなっている状態です。
本来アーチがあることで、体重や衝撃を分散しながら歩くことができます。
しかしアーチが崩れると、クッション性が落ち、地面をそのまま踏みしめるような負担がかかります。
見た目では、足の内側がぺたっと床についているように見えます。
足裏のアーチが潰れてしまい、歩くたびに膝や腰にも影響が出やすくなります。
偏平足になるとどんな問題があるの?
足が疲れやすくなるのはもちろん、膝・股関節・腰などに波及することもあります。
「歩き方がぎこちない」「足音がペタペタうるさい」といった悩みも偏平足が関係しているケースがあります。
靴のすり減り方が左右で違う、タコやマメができやすいといった症状があれば注意が必要です。
偏平足の原因は?生まれつきだけじゃない理由
生まれつき土踏まずができにくい「先天性偏平足」もありますが、多くは後天的な筋力低下や生活習慣が原因です。
足裏の筋肉がうまく使われず、アーチを保てなくなっている状態が多く見られます。
運動不足や合わない靴、長時間の立ち仕事なども原因になります。
自分は偏平足?チェックする方法はある?
かんたんなセルフチェックの方法はこちらです。
- 濡れた足で紙の上に立ってみる(フットプリント)
- 土踏まずの部分にもしっかり水の跡が残っていたら、偏平足の可能性があります。
また、足の親指を上に反らせたときに土踏まずが持ち上がらない場合も、筋肉の機能低下が疑われます。
偏平足はなぜ「治りにくい」と言われるのか
インソールだけでは不十分な理由
インソールを使うと一時的に楽になります。
しかし、それはあくまで“支えてもらっている”状態です。
本来必要なのは、「自分で支える力を取り戻すこと」。
筋肉が働かないまま支えられ続けると、機能はさらに低下してしまいます。
アーチは靭帯と筋肉でできている
土踏まずの構造は、骨・靭帯・筋肉で構成されています。
靭帯だけで支えるには限界があり、特に筋肉の働きが大きな役割を担っています。
だからこそ、偏平足の改善には筋力の回復が必要不可欠なのです。
鍵は「足底筋群」!土踏まずを支える小さな筋肉たち
足底筋群(そくていきんぐん)は、足の裏にある小さな筋肉の集まりです。
これらの筋肉がきちんと働くことで、アーチの“弾力”と“支え”が生まれます。
特に大切なのは以下の筋肉です。
- 母趾外転筋:親指を外側に広げる
- 短趾屈筋:指を曲げる
- 足底方形筋:つま先の動きを支える

足底筋群が使えなくなる生活習慣とは?
現代人は裸足で過ごす機会が少なく、足裏の筋肉が刺激されにくい環境です。
また、クッション性の高い靴ばかり履いていると、自然な足の動きが制限されます。
これが、足底筋群の「使わない→衰える→偏平足が進行する」負のサイクルにつながります。
偏平足を改善する3つのステップ
1. 感覚を取り戻す(足裏の感覚トレーニング)
足裏の感覚を呼び起こすことが第一歩です。
- 裸足で室内を歩く時間を少しずつ増やす
- 足ツボマットやゴルフボールを踏んで感覚刺激を与える
感覚が戻ると、筋肉も動きやすくなり、トレーニングの効果が高まります。
2. 足の筋肉を鍛える(足底筋群トレーニング)
日常に取り入れやすい足裏トレーニングを行います。
- タオルギャザー
床に置いたタオルを足指でたぐり寄せる - グーチョキパー運動
足指で「握る・開く・揃える」を繰り返す - トゥレイズ/ヒールレイズ
つま先だけ・かかとだけを床から持ち上げる運動
毎日少しずつでも続けることで、アーチの形成をサポートできます。
3. 日常を整える(靴・インソール・姿勢)
正しい道具選びと身体の使い方も重要です。
- 偏平足用の靴は「柔らかすぎない」「足が前に滑らない」ものが理想
- インソールは、支えすぎず、足の形にフィットするものを選びましょう
- 姿勢や歩き方にも注意。足裏でしっかり地面をとらえる意識が必要です
一時的に支える道具は「卒業できる」設計を意識すると良いでしょう。
注意!足の裏の筋肉はつりやすい!
足の裏の筋肉を使い慣れていない人が、いきなり練習を始めると、足がつってしまうことがあります。
そんなときは、あわてずにストレッチをして、筋肉をゆるめてあげましょう。
まずは丁寧に、ゆっくりと動かすことが大切です。
少しずつ慣れてきたら、だんだん速く動かせるようにしていきましょう。
こんな場合は病院へ!手術が必要なケースもある?
痛みが強い・歩けない・変形が進んでいるとき
自己流でのケアがうまくいかない場合は、病院での診察を検討しましょう。
以下のような症状は要注意です。
- 歩くと激しく痛む
- アキレス腱や膝に負担が出ている
- 足の形が明らかに左右で異なる
放置すると症状が進行してしまうケースもあります。
整形外科で受けられる検査や治療法とは?
病院では、足のレントゲンやアーチの高さを測る検査が行われます。
必要に応じて、インソール作成・リハビリ指導・手術の提案がされることもあります。
「本当に筋トレで改善できる状態か?」を見極める意味でも、医療機関の活用は大切です。
まとめ
- 足底筋群を使えるようにすることが偏平足改善のカギ
足裏の筋肉を目覚めさせることでアーチが支えられるようになる。 - 感覚刺激と筋トレを両立させるのが効果的
足裏の感覚を呼び起こすことで筋トレの効果も高まる。 - 靴・姿勢・生活習慣の見直しが再発防止に不可欠
道具に頼りすぎず、正しい使い方と習慣を身につけることが重要。
※インソールはサポートの役割。感覚を掴むためのアイテムとして使用しましょう!
偏平足は、ただの足の問題ではなく、全身のバランスにも影響する大切なテーマです。
少しずつでも筋肉を目覚めさせることで、日常の快適さは大きく変わります。
筋肉は勉強と同じように使っていないと忘れてしまうもの。
「もう治らない」とあきらめず、今日からできるケアを始めてみましょう。
足底筋群と同じように使うことが苦手になりやすい筋肉を紹介しています。
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柔道整復師/姿勢改善パーソナルトレーナー
さいたま柔整専門学校卒業。
三郷市内グループ接骨院で院長を歴任。
現在、「姿勢改善Studio きずな日暮里」を運営中。