【片方だけ痛い】ふくらはぎの痛みは危険なサイン?

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「あれ、なんだか片方のふくらはぎだけが痛い…」

「張っている感じがするけど、これってただの筋肉痛なのかな?」

そんな風に、ふとした瞬間に感じるふくらはぎの片側だけの痛みに、不安を覚えていませんか?

この記事では、ご自身の身体と向き合うきっかけとして、痛みの原因からセルフケアまでを分かりやすく解説していきますね。

まずは確認!そのふくらはぎの痛み、放置は危険かも

ふくらはぎの痛みは、単なる筋肉の疲れだけでなく、時には身体からのSOSサインである可能性があります。

まずは、注意したい痛みのサインを知っておきましょう。

こんな症状はすぐ病院へ!危険な痛みの見分け方

以下のような症状が一つでも当てはまる方は、自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。

  • 突然、激しい痛みやしびれを感じる
  • ふくらはぎがパンパンに腫れている、熱を持っている
  • 左右で明らかに太さが違う
  • 皮膚が赤や紫色っぽく変色している
  • 歩くと痛むが、休むと楽になる(これを繰り返す)
  • 息苦しさや胸の痛みを伴う

特に、急な腫れや息苦しさを伴う場合は、「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」の血栓が肺に飛んでしまう「肺塞栓症」の可能性があり、命に関わるため緊急を要します。

何科を受診すればいい?症状別の診療科ガイド

病院へ行くべきか迷った時は、以下のガイドを参考にしてみてください。

  • ぶつけたり、捻ったりした覚えがある、運動後に痛む場合 → 整形外科
  • 腫れやむくみ、皮膚の変色がある、歩くと痛むが休むと楽になる場合 → 循環器内科、心臓血管外科
  • どちらか分からない、不安が強い場合 → まずはかかりつけ医や整形外科に相談してみましょう。

なぜ片方だけ?ふくらはぎが痛む主な原因

危険なサインに当てはまらなかった場合、考えられる原因はいくつかあります。

原因別に、片方だけに出やすい理由と合わせて見ていきましょう。

筋肉の疲労やトラブルが原因の場合

スポーツや長時間の立ち仕事など、片方の足に集中して負担がかかると、筋肉が疲労して痛みが出ることがあります。

こむら返り(足がつる)

コムラ返り・脚がつった時のイメージ写真

筋肉の疲労や、水分・ミネラル不足で起こる筋肉の異常な収縮のことで、その後に痛みが残ることがあります。

肉離れ

肉離れのイメージ写真

スポーツなどで急に筋肉が伸ばされた結果、筋繊維が断裂するもので、片足で踏ん張った時などに起こりやすいです。

筋肉痛

使いすぎた筋肉が回復する過程で起こる痛みで、無意識のクセで片側だけを使いすぎている可能性があります。

シンスプリント

シンスプリントのイメージ写真

走りすぎやジャンプのしすぎで、すねの骨をおおう膜が炎症を起こすものです。

すねの内側の下の方に痛みが出ることが多く、ふくらはぎの痛みと間違われることもありますよ。

神経の圧迫が原因の場合

腰の問題が原因で、ふくらはぎに痛みやしびれとして症状が出ているケースです。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアの説明イラスト

ヘルニアとは、
体の組織が本来あるべき場所から
飛び出してしまった状態を
指します。

ヘルニアが神経を圧迫することで
痛みやしびれの症状が起きます。

腰の骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫するもので、お尻からふくらはぎにかけて痛みやしびれが出ます。

このヘルニアは、神経の根元を片側だけ圧迫することが多いため、症状も片方の足にだけ出やすいのが特徴なんですよ。

血管の病気が原因の場合

血管が原因で血行が悪くなり、痛みやだるさを引き起こすこともあります。

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

下肢静脈瘤の写真

足の静脈にある弁が壊れ、血液が逆流して溜まってしまう病気で、血管がこぶのように浮き出て見えることもあります。

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)

足の動脈硬化が進んで血流が悪くなる病気で、「歩くと痛むが休むと楽になる」という特徴的な症状が出ます。

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

エコノミークラス症候群の発生原因のイメージ写真。
長時間同じ姿勢でいる一例。

長時間同じ姿勢でいることなどで、足の深い部分の静脈に血栓(血の塊)ができるものです。

これは解剖学的な理由で左足の静脈が少し圧迫されやすいため、特に左足にやや多く発生することが知られています。

専門家が解説!痛みが片側に出る本当の理由

病気が原因でない場合、片方だけの痛みの背景には、ご自身の「身体のクセ」が隠れていることがほとんどです。

あなたの「身体のクセ」が片足に負担をかけている

私たちは無意識のうちに、楽な姿勢や動き方をしています。

それが「クセ」となり、知らず知らずのうちに片方の足にばかり負担をかけているのかもしれません。

つま先重心・スウェイバック姿勢

つま先重心・スウェイバック姿勢とふくらはぎへの負担

特に多いのが、かかとに体重が乗らず、常に前のめりになる「つま先重心」や、骨盤が前に突き出る「スウェイバック姿勢」です。

これらの姿勢は、本来であれば支えなくても良い場面でも、ふくらはぎの筋肉を常に緊張させてしまいます。

この無意識の緊張の積み重ねが、片方のふくらはぎの血行を悪くし、痛みを引き起こす大きな原因になるんですよ。

その反り腰、実は「スウェイバック」姿勢かもしれません!

その左右差、改善すべき?セルフチェックで確認しよう

ご自身の身体の傾向を知るために、一度鏡の前に立ってみましょう。

  • 肩の高さは左右で同じくらいですか?
  • ウエストのくびれの深さに違いはありますか?
  • 腰骨の高さに差はありますか?
  • 膝のお皿は正面を向いていますか?
  • 目を閉じて50回足踏みした後、最初の位置から大きくズレていませんか?

これらは、ご自身の身体の使い方の偏りを知るヒントになりますよ。

身体の専門家が教える「負担を減らす」身体の使い方

もしクセに気づいたら、少しだけ意識を変えてみましょう。

大切なのは、骨盤を立てて、かかとに重心を置くことです。

おへその下に少し力を入れ、頭のてっぺんから一本の糸で吊られているようなイメージで、すっと立ってみてください。

痛みとサヨナラ!今日からできる簡単セルフケア

痛みが強い時は安静が第一ですが、落ち着いてきたら、再発しにくい身体づくりのためにケアを取り入れていきましょう。

【応急処置】もし、足が吊ってしまったら

夜中など、急に足が吊ってしまった時のために、まずは応急処置を覚えておきましょう。

ステップ1:慌てず、ゆっくり筋肉を伸ばす

タオルでふくらはぎを伸ばすストレッチ

痛いですが、まずは筋肉の異常な収縮を止めるために、ゆっくりとふくらはぎを伸ばします。

  • 座って行う場合:床に座って脚を伸ばし、タオルのようなものを足先にひっかけて、ゆっくりと体の方へ引き寄せます。
  • 壁を使う場合:壁に向かって立ち、一歩下がってから、かかとを床につけたままアキレス腱を伸ばすように体重をかけます。

「痛気持ちいい」くらいの強さで、30秒ほどじわーっと伸ばすのがポイントです。

ステップ2:痛みが和らいだら、優しく温める

ストレッチで痙攣が落ち着いたら、今度は温めて血行を良くしてあげましょう。

蒸しタオルやカイロを使ったり、ぬるめのお湯で足湯をしたりするのも効果的ですよ。

こむら返り後の痛みや再発予防に

もし足がつった後の痛みであれば、筋肉が軽いダメージを負っている状態です。

優しくケアするとともに、筋肉の働きを調整するマグネシウムやカルシウムといったミネラルを、食事から意識して摂ると良いでしょう。

痛いふくらはぎをすねの筋肉で治す

応急処置の後は、より根本的なケアも試してみましょう。

それでは、実際にすねの筋肉を使ったケアを試してみましょう。

① つま先上げ足踏み

つま先あげた状態で足踏みをする運動の写真
  1. 椅子に浅めに座り、良い姿勢を保ちます。
  2. かかとは床につけたまま、つま先をできるだけ高く上げます。
  3. その状態をキープしたまま、左右交互にリズミカルに30回ほど足踏みをします。

② 段差でかかと重心バランス

かかとバランスの写真。
  1. 手すりや壁のある安全な場所で、玄関の段差や階段に片足を半歩前に出します。
  2. かかとだけを段差に乗せ、つま先は浮かせた状態にします。
  3. 良い姿勢を保ったまま10秒キープし、反対の足も同様に行いましょう。

なぜ?痛いふくらはぎに「すねの筋肉」が効く理由

「痛いのはふくらはぎなのに、なぜすね?」と不思議に思うかもしれませんね。

これは、「拮抗筋(きっこうきん)」という筋肉の性質を利用した、とても合理的なアプローチなんですよ。

私たちの身体は、例えば肘を曲げる時に「力こぶの筋肉(上腕二頭筋)」が縮むと、その裏側にある「二の腕の筋肉(上腕三頭筋)」が自然と緩むようにできています。

このように、表と裏で対になって働き、片方が縮むともう片方が緩む関係の筋肉を「拮抗筋」と呼びます。

ふくらはぎとすねの筋肉も、まさにこの関係。

つまり、すねの筋肉を意識的に「使う(縮める)」ことで、緊張して硬くなっているふくらはぎの筋肉を、安全かつ効果的に「緩める」ことができるという訳です。

なぜ痛みや姿勢がすぐ戻る?「使いすぎ筋」と「サボり筋」まとめ

まとめ

  • まずは危険なサインを確認
    急な腫れや激痛、しびれなどがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
  • 痛みの原因は様々
    筋肉や神経の問題から、身体のクセによる片側への負担蓄積まで、様々な原因が考えられます。
  • クセの改善が根本解決の鍵
    痛みの再発を防ぐには、ご自身の身体のクセに気づき、意識的に使い方を修正していくことが大切です。

ふくらはぎの片側だけの痛みは、ご自身の身体と向き合う良い機会かもしれませんね。

今回ご紹介したセルフチェックやケアは、その第一歩です。

クセを治すのは、他の誰でもなく、ご自身の意識です。

もし、その習慣づくりが難しいと感じたり、どうすれば良いか分からなくなったりした時は、ぜひ私たちのような専門家を頼ってくださいね。