鏡を見て、太っているわけでもないのにお腹にくっきりと入った横線に、ため息をついたことはありませんか?
その気になるお腹の線、実は「猫背線」かもしれません。
これはあなたの努力不足ではなく、毎日の何気ない「座り方のクセ」が原因で作られている可能性が高いのです。
ぽっこりお腹とは違う!お腹の横線「猫背線」の正体と原因

ダイエットをしても消えないお腹の横線に、悩んでいる方は少なくありません。
その正体は、ぽっこりお腹のような脂肪の塊ではなく、長年の習慣によって体に刻まれた「シワ」なのです。
なぜできる?猫背線の原因は「骨盤を倒す」座りグセ
椅子に座るとき、無意識に背中を丸めて、骨盤を後ろに倒すような姿勢になっていませんか?
この「骨盤が後ろに倒れるクセ」こそが、お腹の猫背線を作る最大の原因です。
骨盤が倒れると、お腹の皮膚は行き場をなくして折りたたまれ、その状態が長時間続くことで、くっきりとした横じわとして定着してしまうのです。
▶骨盤の傾き=骨盤の歪み?骨盤の歪みの正体について詳しく解説!
痩せてるのに猫背線が…体型と関係なくシワができる理由
「痩せているのに、なぜお腹に線が…」と不思議に思う方もいるでしょう。
猫背線は、皮下脂肪の量に関係なく、姿勢のクセによって皮膚が圧迫されることでできます。
そのため、体型に関わらず、誰にでもできてしまう可能性があるシワなのです。
あなたの猫背線リスクは?1分でわかる「座りグセ」骨盤診断
ご自身の座り方のクセがどうなっているのか、一度客観的にチェックしてみましょう。
簡単な方法で、あなたの猫背線のできやすさ、つまり骨盤の今の状態がわかりますよ。
手のひらで簡単チェック!あなたの骨盤「傾きグセ」
- 手順
- 椅子に普段通りに座ります。
- お尻の下、手のひら(指先は前に向ける)を差し込みます。
- ゴリゴリと硬い骨が、手のひらのどのあたりに乗っているかを感じてみてください。
- チェックポイント
- 硬い骨(坐骨)をほとんど感じない方は、骨盤が後ろに倒れる「傾きグセ」がある可能性が高いです。
この硬い骨でしっかり座れている姿勢が骨で身体を支え、猫背線を作らない座り方です。
要注意!猫背線を悪化させるNGな姿勢のクセ
日頃、無意識にこんな姿勢をとっていませんか?
- ソファやベッドに寄りかかって座る
- 椅子に浅く腰かけて、背もたれに寄りかかる
- 床に座るとき、あぐらや横座り、体育座りを長時間続ける
これらの姿勢はすべて骨盤が後ろに倒れやすく、猫背線を悪化させる原因につながります。
猫背線に限らず、猫背姿勢が肩こりや腰痛の原因になる場合もあります。
猫背線を消す!座りグセ改善3ステップ【ストレッチ&エクササイズ】
それでは、体に染みついた座りグセをリセットし、お腹の猫背線を解消するための具体的な3ステップをご紹介します。
「意識改革」「安定化」「習慣化」の順で、新しい感覚を身につけていきましょう。
ステップ1【意識改革】坐骨で座り「骨盤を立てる」感覚を覚えるストレッチ
まず最も大切なのは、骨盤が立った正しい状態がどんなものか、体に覚えさせることです。
キーワードは、先ほどチェックした「坐骨(ざこつ)」というお尻の骨です。
この左右の坐骨に均等に体重を乗せ、座面を真下に押すような感覚で座ることが、骨盤を立てる第一歩になります。
- タオルを使った骨盤サポートストレッチ
- フェイスタオルなどを丸めて、細長い棒状にします。
- 椅子に座り、左右の坐骨の少し後ろあたりに、そのタオルを横向きに置きます。
- タオルの上に座ることで、自然と骨盤が前に起き上がり、坐骨で座る感覚が掴みやすくなります。
この「正しい位置」を体にインプットすることが、悪いクセをリセットするのに役立ちます。
ステップ2【安定化】呼吸で起動!腹筋で支える「ドローイン」のやり方
骨盤を立てる感覚がわかってきたら、次のステップに進みましょう。
骨盤を前に倒したときに、腰が反りすぎてしまわないように、お腹の力でしっかりと支える「新しいクセ」を身につけます。
- ドローインのやり方
- 坐骨で座り、骨盤を立てた状態をキープします。
- 鼻から息を吸い、お腹を軽く膨らませます。
- 口からゆっくりと息を吐きながら、おへその下(下腹部)を背中側に引き寄せるように、薄くへこませていきます。
- この呼吸を数回繰り返します。
これはお腹の深層部にある「腹横筋」という筋肉を使う練習で、あなたの腰を安定させる天然のコルセットになってくれます。
ステップ3【習慣化】デスクワーク中もOK!猫背線を予防する正しい座り方
最後の仕上げは、この新しい良いクセを、無意識レベルで使えるように体に定着させることです。
日常生活の中で少し意識するだけで、猫背線を予防し、できにくい状態をキープできます。
- デスクワーク中の正しい座り方
- 椅子に深く腰かけ、坐骨で座面をしっかりとらえます。
- 背筋を伸ばし、頭のてっぺんが天井から糸で吊られているようなイメージを持ちます。
- パソコンのモニターは目線の高さに合わせ、顎を軽く引きます。
1時間に1回は立ち上がって体を動かし、座り直すことで、良い姿勢を維持しやすくなりますよ。
まとめ
- お腹の猫背線の原因は「座りグセ」
体重や体型ではなく、無意識に骨盤を後ろに倒して座るクセが、お腹にシワを作っています。 - 改善の鍵は「骨盤を立てる」こと
体の土台である骨盤を「坐骨」で支えてまっすぐ立てる、正しい感覚を体に覚えさせることが重要です。 - ストレッチと腹筋で良い姿勢をキープ
簡単なエクササイズで骨盤を支える力をつけ、正しい座り方を習慣化することが、猫背線の予防と改善につながります。
お腹の猫背線に気づいたことは、あなたの長年の体の使い方を見直す絶好のチャンスです。
それは、見た目の変化だけでなく、腰痛の予防や、疲れにくい体づくりにも繋がっていきます。
今日からぜひ、ご自身の「座りグセ」に意識を向けてみてください。
正しい感覚を体に覚えさせ、美しいお腹と健やかな毎日を手に入れるための、新しい習慣を始めていきましょう。
柔道整復師/姿勢改善パーソナルトレーナー
さいたま柔整専門学校卒業。
三郷市内グループ接骨院で院長を歴任。
現在、「姿勢改善Studio きずな日暮里」を運営中。