筋トレや姿勢改善に取り組んでいても「背中が使えている感じがしない」と感じたことはありませんか?
とくに猫背や巻き肩に悩む方にとって、背中の筋肉は見えづらく、意識もしづらい部位です。
その中でも「広背筋(こうはいきん)」という筋肉は、姿勢改善や動きの質にも大きく関わっています。
この記事では、広背筋の基本から、感じにくい理由、効かせるトレーニング方法まで、わかりやすく解説します。
広背筋とは?場所と役割をわかりやすく解説
広背筋の位置と見た目の特徴
広背筋は背中の下半分から脇の下にかけて大きく広がる筋肉です。
脊柱・骨盤・肋骨から腕の骨(上腕骨)へとつながっており、身体の中でも面積の大きい筋肉のひとつです。
鏡で見るのは難しい位置にあるため、筋トレ初心者には意識しづらい部位でもあります。

どんな動作で使われる?
広背筋は、主に「腕を引く」動作で働きます。
たとえば、懸垂やラットプルダウン、ローイング系の動きが代表的です。
また、日常生活では荷物を引き寄せたり、ドアを引いて開けたりする動作にも関わります。
腕の動きに関係していますが、実は「肩甲骨を下げる・寄せる」役割も持ち、姿勢保持にも重要です。
広背筋が弱いと起きやすい問題
- 背中が丸まりやすくなり、猫背が慢性化する
- 肩が前に入りやすく、巻き肩になる
- 肋骨の動きが制限され、呼吸が浅くなる
これらはすべて「背中の筋肉が使えない=支えられない」ことが原因で起きやすい現象です。
広背筋を意識的に使えるようになるだけで、姿勢は自然と整っていきます。
背中の筋トレで「効かない理由」とは?
胸や腕ばかりに効いてしまう原因
背中のトレーニングをしているはずなのに、なぜか腕や肩ばかり疲れる。
このような場合、腕で「引っ張る」意識が強すぎることが多いです。
また、フォームが崩れ、反動や体の勢いで動かしてしまうと、ターゲット筋に刺激が届きません。
広背筋を使えない人の特徴
- 肘が引けておらず、肩が上がってしまう
- 胸を張る動きができず、背中が丸まったまま
- 肩甲骨が動かず、腕だけで動いてしまう
このような特徴があると、いくら背中種目をこなしても効果が出づらくなります。
広背筋を「感じる」ためのコツとは?
- 肘から動かす意識を持つ
- 胸を軽く張り、肩を下げておく(肩をすくめない)
- 最初は軽い負荷・ゆっくりした動きで感覚をつかむ
特に「肘で引く」「肩甲骨を下げる」意識が重要です。
腕ではなく背中で引いている感覚をつかむことが第一歩です。
▶筋トレが効かない?感覚がわからない原因と「効かせるコツ」完全解説
広背筋を鍛えるおすすめトレーニング
自重でもできる広背筋トレ(入門〜中級)
広背筋に効かせる感覚を養うには、自重トレーニングから始めるのが効果的です。
特に肘の引き方や肩甲骨の動きをコントロールしやすく、姿勢改善目的の方にもおすすめです。
リバースプランク

体の背面全体を意識的に使うことで、広背筋や大臀筋の連動を引き出します。
やり方
- 足を伸ばして座り、手を体の後ろに置く(指先は前向き)
- 手と踵で床を押しながら、腰を持ち上げて一直線をつくる
- 肩をすくめず、肩甲骨を寄せながら胸を張る
- この姿勢を15〜30秒キープ×2〜3セット
ポイント:
腰だけを持ち上げるのではなく、「胸と骨盤を引き上げて背面全体で支える」意識が重要です。
テーブルトップロー(テーブル下などで引く動作)
簡易懸垂のように、背中で「引く感覚」を養える優れた種目です。
やり方:
- テーブルやバーの下に仰向けで入り、肩幅よりやや広めにバーを握る
- 体を一直線に保ったまま、肘を引いて胸をバーに近づける
- 背中を使ってゆっくり降ろす
- 8〜12回×2〜3セット
ポイント:
肩をすくめず、胸を張ったまま「肘で引く」ことで広背筋が使われます。
腰が落ちたり、腕だけで引かないように注意しましょう。
バンドプルアパート

軽負荷で広背筋〜肩甲骨下部の感覚を養うのに最適。姿勢改善目的の方にも有効です。
やり方:
- 両手でチューブを持ち、胸の前に伸ばす(肩幅〜やや広め)
- 肘を伸ばしたまま、腕を横に開いてチューブを引く
- 背中の収縮を感じながらゆっくり戻す
- 10〜15回×2〜3セット
ポイント:
チューブを引くときは「背中で開く」感覚を意識してください。
肩が上がったり、腕で引こうとすると広背筋に入りにくくなります。
器具ありで効かせやすい種目(ジム向け)
広背筋にしっかり効かせたい場合は、ケーブルマシンを使った種目が効果的です。
動作の安定性が高く、姿勢を保ちやすいため、初心者〜中級者でも感覚をつかみやすくなります。
ラットプルダウン

広背筋をストレッチさせながら「縦方向に引く」感覚を養える王道のマシントレーニングです。
やり方:
- シートに座り、バーを肩幅〜やや広めに握る(オーバーグリップ)
- 胸を軽く張り、肩を下げた状態で準備
- 肘を引きながら、バーを鎖骨のあたりまでゆっくり下ろす
- 背中の収縮を感じながら、ゆっくり元の位置へ戻す
- 10回前後 × 2〜3セットを目安に行う
ポイント:
バーを下ろす時に「肘を下げる意識」で行うと、肩に頼らず広背筋を使いやすくなります。
バーを胸に引きつける動作は、肩をすくめず、背中で引くことを意識しましょう。
シーテッドローイング

背中の中部から下部を水平に「引く」動作で鍛える、姿勢改善にも効果的な種目です。
やり方:
- 足をフットプレートに置き、ケーブルを両手で持つ(バーやハンドルのタイプに応じて)
- 上体を立てて姿勢を整え、胸を張った状態でスタート
- 肘を後ろに引き、肩甲骨を寄せるようにして引き切る
- ゆっくり元に戻す動作を繰り返す
- 10回前後 × 2〜3セットが目安
ポイント:
腰を反りすぎず、背中をまっすぐに保ったまま引くのがコツです。
動作中、腕ではなく「背中の動きと肘の軌道」に集中することで広背筋を使いやすくなります。
正しく効かせるためのポイントと注意点
- 肘を背中側に引ききる
- 肩をすくめず、常に肩甲骨を下げる
- 動作中に背中が丸まらないよう注意する
初期段階では「どこに効いているか」を感じることが何より大切です。
広背筋ストレッチとほぐしのコツ
巻き肩・猫背改善に効果的なストレッチ
①バンザイ姿勢で左右に体を倒す(側屈)
②四つ這いでの広背筋伸ばし(チャイルドポーズの応用)
③ドアフレームを使った腕引きストレッチ
ストレッチは呼吸を止めず、20〜30秒を目安に行いましょう。
特に座り姿勢が続いたあとに実施すると効果的です。
背中が硬くなる原因とリリースの考え方
- 長時間のデスクワークによる固定姿勢
- 呼吸の浅さで胸郭の動きが制限される
- 筋肉が伸びきったまま力を出せず、使えなくなる
フォームローラーやボールを使ったリリースもおすすめです。
ただし、押しすぎ・伸ばしすぎには注意し、痛みが出る場合は中止してください。
まとめ
- 広背筋は背中の広い範囲を占め、姿勢の安定や腕を引く動作に重要な役割を果たします
猫背や巻き肩の改善には、広背筋の理解と活用が欠かせません - 広背筋が使えていない人は、腕や肩ばかりに頼った動きになりやすく、筋トレの効果が出にくくなります
「肘で引く」「肩甲骨を動かす」などの意識が、正しいフォーム習得に役立ちます - 広背筋のトレーニングは、姿勢だけでなく呼吸機能の改善にも良い影響を与える可能性があります
- 筋持久力トレーニングにより、呼吸補助筋としての働きが強化されることが示唆されています
広背筋のトレーニング効果が呼吸機能に与える影響について(CiNii)
広背筋は見えにくく意識しづらい筋肉ですが、正しく使えるようになると姿勢も動きも変わっていきます。
まずは軽めのトレーニングから、背中を「感じる」習慣を始めてみましょう。