腹筋の使い方として「ドローイン」と「ブレーシング」という言葉を聞いたことはありませんか?
聞いたことはあるけれど、いざ使い分けようとすると違いがよくわからないまま…なんとなくトレーニングしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドローインとブレーシングの違いを「目的・やり方・使いどころ」の3つの視点からわかりやすく解説します。
姿勢改善やトレーニングの効率を高めたい方にも役立つ内容です。
ドローインとブレーシングって何?
どちらも「お腹を意識する」方法です
ドローインもブレーシングも、どちらも腹筋群を使って体幹を安定させる手法です。
ただし、使い方や目的には大きな違いがあります。
一言でまとめるなら、ドローインは「引き締め」、ブレーシングは「固める」です。
ざっくり違いを表で比較
比較項目 | ドローイン | ブレーシング |
---|---|---|
腹筋の使い方 | お腹をへこませて引き締める | お腹を膨らませたまま力を入れる |
主な筋肉 | 腹横筋(ふくおうきん) | 腹直筋・腹斜筋・横隔膜など複合 |
呼吸との関係 | 吐きながらお腹をへこませる | 呼吸を止めずに腹圧を高める |
主な目的 | 姿勢改善・インナーマッスル活性 | 高負荷トレーニングの安定化 |
難易度 | やや易しい | やや難しい(力加減が重要) |
ドローイン:インナーマッスルを引き締める感覚
ドローインのやり方と注意点
- 仰向けに寝て、膝を立てる
- ゆっくり息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるようにお腹をへこませる
- 腰の下に手を入れ、腰が浮かないように注意
呼吸を止めないように意識しながら、軽くへこませる感覚がポイントです。
ギュッと力むのではなく、静かにお腹を引っ込めるように行いましょう。
どんな時に使うの?
- 姿勢を整えたいとき
- 腰痛予防やリハビリとしての体幹トレーニング
- 日常の立ち姿勢や座り姿勢を整えるとき
運動に慣れていない方でも取り組みやすく、普段の生活にも取り入れやすいのが特長です。
コルセットでお腹をやさしく包むように、肋骨の下からお腹全体を締めるイメージで行いましょう。
ブレーシング:腹圧で体幹を「固める」技術
ブレーシングのやり方と注意点
- 肋骨の下あたりを軽く触れる
- 息を吸ったあと、軽く吐いてその状態でお腹を膨らませながら力を入れる
- 呼吸を止めずに腹圧を保つ
腹筋に力を入れてお腹全体をふくらませるように意識します。
このとき、体幹全体に風船を膨らませるような感覚が重要です。
どんな時に使うの?
- 重たいものを持ち上げるとき
- スクワットやデッドリフトなどの高負荷トレーニング
- 体幹の安定感を高めたいとき
腰を守り、パワーを出しやすくするために重要な技術です。
よくある疑問をまとめて解決
ドローインとブレーシングどっちが正しいの?結論:目的次第
どちらが「正しい」ではなく、使うシーンが違うというのが正解です。
日常姿勢の意識づけや軽い運動にはドローイン。
運動中の安定性やパフォーマンス向上にはブレーシングが適しています。
ドローインしながら動いてもいいの?
結論から言えば、日常生活の中でドローインを意識しながら動くのは問題ありません。
ただし、動きながらお腹を強くへこませようとすると、
呼吸が浅くなったり、身体がこわばって動きがぎこちなくなることがあります。
基本的には静止状態で正しく感覚をつかんだ上で、
立ち姿勢や歩行時など、軽い動きに応用するのが無理のないステップです。
ブレーシング中に息が苦しくならないコツはある?
ブレーシングは腹圧を高めますが、呼吸を止める必要はありません。
息を「止める」ではなく「コントロールする」イメージが大切です。
ポイントは、軽く吐いた状態で腹圧をキープし、
そのまま短く浅い呼吸(胸での呼吸)に切り替えること。
トレーニング中は無意識に息を止めがちですが、
「腹を固める」「胸で呼吸する」の2段階を意識すれば、息苦しさは軽減されます。
日常生活でどちらを意識すべき?
普段の生活では、どちらかというとドローインの意識が向いています。
軽くお腹を引き締める感覚で腹横筋を活性化でき、
姿勢保持や腰痛予防に効果的です。
一方で、重たい荷物を持つ場面や力を入れる動作には、
一瞬だけブレーシングの要素を取り入れると体幹が安定します。
生活シーンに応じて、自然に切り替えられるのが理想です。
姿勢改善についてはこちらで詳しく解説しています。
▶骨の軸で支える良い姿勢とは?メリット・チェック・トレーニングまとめ
ドローインって意味ないって聞いたことがあるけど本当?
確かに一部では「ドローインは意味がない」と言われることもあります。
これは、筋トレ効果を期待する人が、
「引き締め=弱い筋トレ」と感じてしまうことが背景にあります。
ドローインはあくまでインナーマッスルの感覚を知ることや姿勢改善が目的で、
筋肥大やパワーアップを狙うものではありません。
目的を正しく理解すれば、十分に意味のあるアプローチです。
両方できるようにしましょう!
ドローインでインナーを目覚めさせることは、姿勢改善や疲れにくさの改善に有効です。
一方で、ブレーシングを活用すれば、スポーツや筋トレの安全性と効率がアップします。
使い分けができれば、より幅広く体幹をコントロールできるようになります。
ドローイン×ブレーシングの応用:合わせ技で体幹をさらに深く安定させる
腹筋の使い方に慣れてきたら、ドローインとブレーシングを組み合わせた応用法もおすすめです。
吐くときにドローインでお腹を引き締め、肋骨の下をコルセットのように締めながら、
そのまま吸って腹圧を高めるように意識します。
実際には腹筋で締めているため、お腹が大きく膨らむ感覚は出にくいですが、
内側から押し返されるような圧力が感じられればOKです。
この方法は、姿勢を保ったまま力を発揮する感覚がつかみやすく、
スポーツ動作や日常動作への応用にも役立ちます。
間違った使い方に注意
ドローインのNG例
- お腹をへこませすぎて呼吸が止まる
- 腰を反りすぎて腰痛を悪化させる
- 動きながらドローインを維持しようとして疲れる
ブレーシングのNG例
- 力みすぎて首や肩に力が入る
- 呼吸を完全に止めてしまう
- 腰をそらせたまま力を入れる
まとめ
- ドローインは腹横筋を中心に使い、姿勢やインナー強化に向いている
- ブレーシングは腹圧を高めることで体幹を固め、筋トレや動作の安定に有効
- ドローイン+ブレーシングの応用で、深い安定感と高いパフォーマンスが両立できる
どちらも「腹筋を使う」手法ではありますが、目的や方法はまったく異なります。
正しく使い分けることで、ケガの予防や姿勢の改善に大きな違いが出てきます。
まずは簡単な場面で試しながら、日常と運動の両方に応用していきましょう。